その日君は笑った

mahiro

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笑いあいたい

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「ということで付き合うことになりました」


毎度のごとく宝生に報告すれば、口をへの字にしたかと思えばすぐに口角が上へと上がった。


「そうか。良かったではないか」


実はあの後、真宮はバイト先を辞めて本屋のアルバイトに変更した。
髪の毛や装飾品も改め、好青年に変わり、更に女子からの人気が出ただとか。


「まるで昔の北嶌のようではないか」


「え?昔チャラチャラしてたのか?」


「ちょっと違うな。奴は昔、リーゼントヘアで、一昔前のヤンキーの着るような学ランを着ていたのだよ」


想像がつかないけど怖そうだな。
今も十分怖いけど。


「変化した者同士仲良くなるかもしれないなぁ、あの2人」


「そうかもな」


だとすると良いけど、仲良く話している姿が想像つかないのは何故だろうか。


「それより孝介、そのお弁当は奴が作ったのか?」


「ん、そうそう。真宮って家事が得意らしくて自分の分を作りながら作ってくれるんだよ」


優しい奴だよなぁ、と呟けば宝生にニヤニヤとした表情で見られた。


「お付き合いと同時に同居。胃袋まで掴まれて、完全に奴の思う壺ではないか、孝介」


「うるさい………」


俺もそう思ってるよ。
あと何を掴まれるのか分からないけれど、真宮と共にいることは全く苦ではない。
あの日のようにボロボロと泣く姿はなくなったし、いつも幸せそうに笑う真宮を見ると俺も幸せな気持ちになる。
この先、どうなるかなんて分からないけれど、真宮が側にいてくれるまでは、ずっと側にいて笑いあいたい。


終わり
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