その日君は笑った

mahiro

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バイト先に訪れた男

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それからというものの、特に変わりないと思っていたのだが、何故か俺のバイト先のコンビニに真宮が来ていた。
客でたまたま来ていたと言われればそこまでなのだが、何だろう背筋が冷える。


「やぁ!また会ったね」


「………いらっしゃいませ」


ここは普通にお客さんとして接し、仕事に戻ることにしよう。
さぁ、品の入れ替えだ。
忙しい忙しい、としゃがみこむと、何故か真宮までしゃがみこむ。
何だこいつ、暇なのか。


「君さ、名前何て言うの?」


俺は名札が見えないように商品を抱え、立ち上がれば真宮も立ち上がる。


「お客様、何かお探しですか」


無視しているとクレームになっても面倒なので適当にそう言えば、真宮はそれはそれは爽やかに笑って言った。


「君の名前かな?」


「…………」


真面目に何言ってんだこいつ。
頭大丈夫か。
そういうことは女の子に言えよ。
こんな何処にでもいる男に声なんて掛けてないで。
よくよく見れば綺麗な顔してるし、絶対にモテるだろうこの男。


「ねぇねぇ、名前教えてよ。教えてくれたら今日は帰るから」


今日はってことはまた来るつもりか。
もう2度と来なくて良い。
でもそんなこと仮にも客に向かって言えないし、こうなったら偽名を伝えて今日は帰って貰おう。


「マイケルです」


「え?完全に日本人の顔して実は外人だったの?」


そんなわけあるか。
両親も兄弟も祖父も祖母もいとこも全員、生粋な日本人で海外に渡航歴もないわ。
でも、そんなこと教える必要もないから俺は品を素早く入れ替えてその場から離れた。
そのやり取りを見ていたもう1人のバイトの男に腹を抱えながら笑われました。
誰だよマイケルって、と。
そんなの俺が知りたい。
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