やっと、

mahiro

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「あーこっちの話。で、何でエディスか分かったのか、だったか。正確には分かってねぇよ。ノエリア王子の名前聞いて、何となくそうかと思って聞いただけで合ってるとは思ってなかった」


「そうだったんだ。良かった…バレバレの格好なのかと思ったよ」


そう言ってエディスは両手を広げて自分の格好を見直し始めた。
コートの中はあまり目立たない黄色のドレスを着用し、靴はあまりヒールの高い靴は履き慣れていなさそうなエディスのためであろう、ヒールのあまりない靴を履いていた。


「そのコート着ていたら皇族だとは分かるぞ」


「え?!そうなの?!」


初めて知った、というエディスにコートの説明をしたら何故か途中から顔を赤らめ、俯いてしまったのだが、何かおかしなことでも言っただろうか。


「………だからあのときコートの上に着ろって言ったのね」


「?」


あのときとはどのとき?と思って首を傾けていれば、エディスは恥ずかしがりながら口を開いた。


「あのね、私、昔ブライアン王子と婚約者だったんだけど、婚約破棄されちゃって屋敷を出されたの。荷物とかぜーんぶ焼却炉に入れられちゃってこれからどうしようかなって悩んでいた所にノエリア王子とアルノルフさんとたまたま会ったの。そこでね、ブライアン王子に用があったノエリア王子とちょっとだけ会話して去ろうと思ったら何故か追い出された城に戻されたんだけど、そのときにノエリア王子が着てたコートを私の顔に投げつけてきたの」


ニコニコと笑いながら話すエディスに、全く笑えない話の展開だなと思いながら話を黙って聞いた。


「あのときは何でコートの上にコート着なきゃいけないんだろうなって思ったんだけど、ノエリア王子の『仲間』に少しでも見えるように自分のコートを私に着せてくれたんだって今さら気付いて、あの頃から乱暴だったけど、優しかったなぁって思ってね」


ふーん、と言いながら、そんなことするのはエディスだけになんだろうなぁと思いながら、いつまでもメニューを決められないエディスを促した。
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