幸せの鐘が鳴る

mahiro

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今更だが、昔から流されやすいとアレットに言われていたような………。


「座って話さない?」


「あ、はい」


さっき話していた口調もよりもだいぶ柔らかな口調で、アンドレは自分が腰掛けた椅子の前を指差した。


「失礼します」


一礼してから座ると丸々とした瞳で私を見た後に、微笑ましいものを見たかのような表情を見せた。


「…………あの、何か」


居心地が悪くなってそう訊ねると、アンドレは咳払いをしてから表情を固めた。


「いや、懐かしいものを見た気がして」


懐かしいもの?
何か懐かしむようなものがあっただろうか。



「『ロラン』も『私』が座ってと言ったら、オドオドしたあとに一礼してから座ったんだ」


それは…………仮にも騎士団のそれも副隊長がお嬢様の前に平然と座るわけにはいかないと思っていたからやっていたんだけど、それが染み付いてしまったみたいだ。
あぁ………これでは。


「『ロラン』、お帰りなさい」


自分でバラしたようなものじゃないか。
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