幸せの鐘が鳴る

mahiro

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昔の二人は、王女様と騎士団団長という関係性だった。
ソロモンはよく王女であったアレットの護衛を任されることもあり、行動を共にすることがよくあった。
だが、団長という立場もあり、毎回その任務に入れるわけでなく、他の任務を任されることが多々あった。
そのときに護衛を任されたのが、副団長であった私の仕事だった。
アレットは私の顔を見るたびに落ち込み、ソロモンが良かった、と呟き、昨日のソロモンは格好良かっただとか、何をプレゼントしたら喜んで貰えるのだとかそういった相談を私にしていた。
王女という立場もあり、他の人たちにそういった相談をする人が居なかったのだろうから仕方がなかったのだろう。
参考になるか分からないが、私が知っていたソロモンの情報を伝えた所、それを参考にされたようだが、ソロモンも立場的に素直になることが出来ず、アレットの望む反応が返ってくることはなかった。


だが、アレットの願いを叶えたあの日。


ソロモンは今まで一度も見たことのない形相で剣を腰から抜き、迷いなく私を伐った。
あれは間違いなく愛していた人を殺した人物に対しての怒り・憎しみだった。

態度には出さないまでも、ソロモンも間違えなくアレットを愛していたのだ。



「お姉さんも英雄の二人を見に来たんですか?」


溢れ返っている人々を眺めていたら、建物と建物の隙間からひとりの青年が話しかけてきた。


「あぁ。そういう君もそうだろう?」


「えぇ。凄いですよね。たった二人でこの広い世界を救ってしまったんですから」
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