オレに触らないでくれ

mahiro

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誕生日って自分から言いにくい

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家では宗方からの電話のおかげで話せず、学校では女の子が宮永に近づいては話し掛ける頻度が高くなって話しにくいし、お互いバイトしてるから顔合わせる頻度が低いし。


「どうしたら良いんだ……」


テーブルの上に突っ伏していると、顔の横にあったスマホに着信が入っている音がする。
この時間だと日夏か幸輝か。
そう思ってスマホを手にしたら電話だった。


「もしもし」


『もしもし?お兄ちゃん?日夏だよ』


「お兄ちゃんだよ、どうした?」


『あのね、そろそろお兄ちゃんの誕生日でしょ?』


そういえばそうだ。
忘れてた。
去年も受験で忘れてて、幸輝に怒られたっけ。
その前も何だかんだやってて忘れて両親に怒られていたような。


「そうだね、忘れてたよ」


『もう!だと思った!』


「ごめんごめん」


自分の誕生日よりも幸輝と日夏の誕生日の方が大切で、そっちを優先して、自分の誕生日は後回しにしてきたから忘れそうになるんだよなぁ。


『もう!だからね、日夏、幸輝お兄ちゃんと一緒に誕生日プレゼント考えてるから楽しみにしててね』


「ありがとう、二人から貰えるものなか何でも嬉しいよ」


今まで二人からは肩たたき券とか、朝起こす当番券とか一緒にお昼寝する券とか貰ってきてたけど、今年は何だろう。
以前は一緒に住んでいたからそういった券だったけど、今は別々だし、誕生日は平日で翌日朝から講義が入ってるし自宅には帰れそうにないかな。
その前の週の土日はバイトが入ってるし、その後の土日も入ってる。
あれ、いつ帰れるんだ。


『楽しみにしててね!』


「今から楽しみにしてるよ」


そう言って電話が切れた。
誕生日、か。
家族と過ごす誕生日でもなく、友達や先輩方と過ごす誕生日でもない。
宮永は午前午後一緒の講義を受けた後にバイトか。
そうだよなぁ、誕生日いつって話したことなかったもんなぁ。
知るわけないか。
だからってオレ誕生日なんだ!っとか恥ずかしくて言い出せないし。
そもそも普通の話が出来てないのにその話が出来るとも思えない。
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