オレに触らないでくれ

mahiro

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もう喜んで良いのか悲しんだら良いのか!

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「いや、うん触る前に告白って発想は凄く良いと思うんだけど…その、相手って男…なんだよな?」


本当に璃生だった場合、男だとか気にしないだろうけど。
だって今も葵と付き合ってるし。


「あぁ、男だな。最近は男同士ってのも珍しくないだろ」 


「そ、そうなんだけどな」


そうなんだけど、相手が悪いというかなんというか。


「玖蕗栖はそういうの気にするのか?」


「オレ?オレは気にしないけど…」


オレの好きな人も男だし。
あぁ、どうしよう。
これは応援すべきなのか?
でも、オレが知っている上で璃生に告白を宮永がしたら後々面倒なことになるのが目に見えてるんだけど。
でも、好きな人の恋を応援したい気持ちもある。


「なら何の問題もねぇな」


いや、問題ありすぎるんですけどね。


「よし」


パシッと両頬を叩いて気合いを入れた宮永は何故かオレの方へと体を向け、爽やかに微笑んだ。
え、何その顔。


「玖蕗栖、お前のことが好きなんだが俺と付き合ってくれねぇか?」


「……………へ?」


いや、え?
宮永の好きな人ってオレ?


………オレ?!

日夏でも璃生でもなくてオレ?!
嘘だろ。
あり得ないだろ、だってオレ、宮永に好かれるようなことしてないし!


「返事、聞かせちゃくれねぇか?」


あぁ、首傾きながら上目遣い止めて。
まさかオレのことが好きだったとは思ってなかったからもうオレの胸と頭の中がえらいこっちゃなことになってるんですけど?!


「ま、待ってくれ。いや、オレも宮永のことはずっと好きだったし付き合いたい。けど、その…まさか宮永の好きな人がオレだったとは全く思ってなくて……頭がごじゃごじゃで」


「はっはっはっ!何だ、気付いてなかったのかい。俺なりに伝えていた気だったんだがなぁ。まぁ、今まで苦手意識が強くてあえて関わりを避けてきたからな、仕方ないか」


宮永は腹を抱えて笑ったかと思えば、オレに向かって手を差し伸べてきた。


「じゃあ、これからよろしく頼むぜ、玖蕗栖。まずは握手からさせてくれや」


「こ、こちらこそ………よろしく」


恐る恐るその手に触れてみると、僅かに震えていた。
心配になって宮永の顔を見てみれば、表情が固くなっているように見え、慌てて離そうとすると逆に掴まれて腕を引かれた。


「うあ、待ってくれ宮永!」


この体勢だと宮永に倒れ込む!
それだけは駄目だ、と思って身体を躱そうとすると、何故かオレは天井を見ていて、その上には宮永の姿が。


「なぁに、俺より慌ててるんだ?安心しろ、今はまだ震えが止まらんが、すぐに克服するから見てろよ」


「は、あ、はい、いや、あの」


オレが慌ててるのは今の体勢というかなんというか。
これ完全にオレ、押し倒されてるんですが。
右手は宮永に掴まれて、左手は中に浮いている状態なんだけど、宮永の空いている手はオレの顔の横にあるし。
起き上がろうにも宮永の両足もあって抜けられない。


「好きだぜ、玖蕗栖」


「オ、オレも好き」


なんだけど、早く上から退いて下さい。
後オレのせいで震えてる宮永なんか見たくないから早く手を離してくれ。
もう、色々な意味で胸が痛くて泣きそうだわ!
誰か助けてください!
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