オレに触らないでくれ

mahiro

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喜んでる場合じゃない

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それからというもの、バイト帰りに宮永と会うことが増えました。
え、何これ。
しかも、宮永から話し掛けてくれるというこれ以上ないほどに嬉しい出来事。
話すっていっても、『バイトお疲れ』とか『塾お疲れ』とかそんな事で『土曜日日夏に会いに行くな』とか、『今日の宿題』がとかそんな感じの話をしてます。
以前よりかは友達同士で話すような内容も話すようになったかも。
学校とか宮永が家に来てくれるときは、二人で話すとか滅多にないしあっても、事務連絡程度で変わりなし。


「なぁ、璃生…オレの頬をつねってくれないか?っていてててててて?!」


「つねってやったけど何?」


「思いっきりつねったな?!加減というものを知らないのか、お前は!」


ホントに璃生って奴は葵以外には優しくないな。
葵に接するように激甘になれとは言わないが、少しでも良いから寄越せよ。


「加減をする意味が分からない」


「そうですか、全く…」


まぁ、手加減されるとも思ってなかったし、加減して欲しければ葵に頼めば良かったんだよ。
その後が怖いから璃生に頼んだんだけど。


「で?いきなりどうした」


「いや、最近良いことが起きすぎてるから夢なんじゃないかと思ったりして」


「ふぅん……」


反応薄いな、おい。
まぁ、オレが幸せだろうが幸せでなかろうが峯岸璃生という男には関係ないですよね。
関係があるのは葵だけですもんね、知ってた。


「そんな風に思ってられるのも今だけじゃね?」


「え、何で?」


まさかオレが知らないだけで、別の問題が浮上しているのか?


「宮永ってT大学の医学部に通いたいから塾に通い始めたんだろ?今まではまぐれで中学、高校と同じところに通えたんだろうけど、大学まで一緒は無理じゃないか?」


「え、T大学?」


そんな偏差値お化けのしかも、医学部にとかオレが行けるわけないじゃないか。
え、宮永、そこを目指すために塾に通い始めたのかよ。
知らなかった……。


「玖蕗栖が将来何になりたいのか、どうしていきたいのか知らないけど、そこまでついていくのは無理でしょ」


「だなぁ………」


とても今から勉強初めても間に合いそうにないし。
オレそんなに頭良い方じゃないから、頭的問題で無理だな。
それにそこへ通うには自宅からは無理だから一人暮らしになるんだけど、日夏と幸輝のことが心配すぎて毎日こっちに帰ってると思う。
あと、オレが将来何になりたいか、かぁ。
考えたこともなかったな。
オレこれから先何になりたいんだろう。
どうしていきたいんだろう。
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