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行きたい所
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まさか奴がこんな早くに到着するなんて予想していなかった。
俺もこんな早く到着する予定なんてなかったが。
「髪のセットに時間かからなかったの?」
俺の頭に衝撃を与えたであろう手を退かされ、普段よりも時間がかからなかった髪に手をやった。
いつもは纏まらない髪が今日に限っては軽く整える程度で纏まり、普段であれば時間のかかる服選びも昨日の夜のうちに選んでいた為、時間は一切かかっていない。
荷物も昨日のうちに準備していたし、朝食は緊張しすぎて食べていない。
「今日は起きたときから髪の調子が良かったのだ」
「珍し」
奴は無地のTシャツに青いカーディガンを羽織り、ジーパンを履いているのだが、昔のこいつは昔のヤンキーのような格好をしていたような奴だった。
髪はリーゼントで、黒の学ランを着て時代遅れだろうと皆が陰で思っていても、目付きの鋭い奴の顔を見ると皆が口を閉じて目を背けるような奴だったのだ。
それが大学生になった今では目付きは悪いが真面目そうな青年に変わっている。
「で?どこ行くとか決まってるの?もし決まってないなら行きたいとこあんだけど」
「お前が行きたい所とは珍しいな。何処に行きたいのだ?」
興味津々に聞けば、何故か不気味な表情で俺を見下ろしてきた。
大抵こういう表情を浮かべるときというのはろくなことがないことをよく知っている。
「行けば分かる」
つまり、行かないと分からない場所に行きたいと。
こうなるなら適当な場所でも言っておけば良かった。
例えば奴が前に観たいと言っていた映画館とか、身体が鈍ったと言っていたからスポーツジムとか、ストレス発散したいと言っていたからカラオケとか。
考えれば沢山出てきただろ、俺。
悪人顔で言うもんだから、先程の親切な女性2人が怖がって逃げてしまったじゃないか。
俺もこんな早く到着する予定なんてなかったが。
「髪のセットに時間かからなかったの?」
俺の頭に衝撃を与えたであろう手を退かされ、普段よりも時間がかからなかった髪に手をやった。
いつもは纏まらない髪が今日に限っては軽く整える程度で纏まり、普段であれば時間のかかる服選びも昨日の夜のうちに選んでいた為、時間は一切かかっていない。
荷物も昨日のうちに準備していたし、朝食は緊張しすぎて食べていない。
「今日は起きたときから髪の調子が良かったのだ」
「珍し」
奴は無地のTシャツに青いカーディガンを羽織り、ジーパンを履いているのだが、昔のこいつは昔のヤンキーのような格好をしていたような奴だった。
髪はリーゼントで、黒の学ランを着て時代遅れだろうと皆が陰で思っていても、目付きの鋭い奴の顔を見ると皆が口を閉じて目を背けるような奴だったのだ。
それが大学生になった今では目付きは悪いが真面目そうな青年に変わっている。
「で?どこ行くとか決まってるの?もし決まってないなら行きたいとこあんだけど」
「お前が行きたい所とは珍しいな。何処に行きたいのだ?」
興味津々に聞けば、何故か不気味な表情で俺を見下ろしてきた。
大抵こういう表情を浮かべるときというのはろくなことがないことをよく知っている。
「行けば分かる」
つまり、行かないと分からない場所に行きたいと。
こうなるなら適当な場所でも言っておけば良かった。
例えば奴が前に観たいと言っていた映画館とか、身体が鈍ったと言っていたからスポーツジムとか、ストレス発散したいと言っていたからカラオケとか。
考えれば沢山出てきただろ、俺。
悪人顔で言うもんだから、先程の親切な女性2人が怖がって逃げてしまったじゃないか。
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