新しい道を歩み始めた貴方へ

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14年の間、セヴランのことを思い出さないようにしていた。
仕事に没頭し、過去に関わる全てのことから手を引くようにもしていた。
それくらいしないと思い出してしまうから。


「…………思い出したのか」


ヨリを戻したいのかと問われたら、戻したくないと答えるだろう。
何故なら、明るい未来など描けないからだ。
どうせ描くなら、幸せな未来を誰もが描きたいに決まってる。


「気付いてて問いかけてくるなんて酷いな」


「思い出したのに、そんなこと言い出す方が酷いだろう」


「どこが酷いのさ。俺はもう二度と後悔したくないから言っただけなのに」


何で先が暗い道だと分かっている方へ進むのか俺には分からないんだよ。
まさか、俺も道連れにして恨みでも晴らそうとしてるのか？


「後悔したくないならそんなこと言わないでくれ。俺はセヴランとの関係を修復させるために話したわけじゃない。ただ、セヴランが知りたいと言っていたものを伝えただけなんだ」


これが俺の本心だ。
セヴランともう一度付き合いたいとか恋人に戻りたいと願ったことはこの14年間、１度だってなかったのだから。


「…………それが本当だとしたら、何で泣いてるの？」