新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro

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「忘れて良かった記憶なら、こんなにも胸が痛むはずないだろう?」


それは忘れたことへの罪悪感で、恋人であったことに対しての痛みではないのではないだろうか。


「それは………どうかな」


「それじゃあ、逆の立場ならどうだった?ルイ君は俺のこと忘れて良かったと思う?」


俺だったら…………。
俺の立場でセヴランを忘れたとしたら。


「良く………ないな」


どうして俺の記憶だけを消したのかと思うな。
どうせなら、二人の記憶を消してくれと願うかもしれない。


「そうでしょう。少なくとも俺は忘れたくなんかなかったし、この地を離れるべきじゃなかったって思うし、何でこんなにも時間を要してしまったんだろうって後悔もしてる。もっと早く戻ってこれたら記憶を確実に戻せたと思う。ルイ君がこんなにも小さな身体になることもなかったんでしょう?」


「え、あ、そう、だな」


確かに14年の月日が経っていなければ、俺が話さずとも記憶を取り戻していた可能性はあった。
まぁ、アナクレトがそんなことさせなかっただろうけど。

もし仮に戻れたとしたら、記憶を取り戻せていただろうし、俺の身体が縮むこともなかっただろう。


「ごめんね、ちゃんと元に戻すから。何もかもを」
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