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セヴランから漸く解放され、ロジェの後ろをついていくと狭い個室に案内された。
中には椅子が二つと小さな机が置いてあるだけで窓ひとつなかった。
取調室に見えなくもない……って取調室なんて行ったことも見たこともないけど、恐らくこんな感じの部屋なんだと思う。
「話したいことが山ほどあるのだけど、とりあえず座ってくるかな」
「あ、はい」
言われるがままに椅子に座ると、ロジェは扉の鍵を締めてから椅子に座った。
これで誰もこの部屋に入れなくなった、ってことか。
もしかして壁も特殊な加工をされていたりして。
「まず、あの書面は見せられなくてごめん。だけど、俺が必要だと思った部分は全て話すつもりだ。それでも良いかな」
「勿論です。よろしくお願いします」
「分かった。じゃあ、まずだけど、14年前……いや、15年前か。アナクレトがセヴランと出会い、恋に落ち、両思いになりたい一心でセヴランにアタックするも伝わらず悩んでいた所にルイ君とセヴランが付き合い始めたことを従者から聞き、自分がなりたかった立ち位置にいるルイ君を恨み、ルイ君ではなくセヴランからルイ君の記憶を消した。そして、ルイ君のいない国へとセヴランを敢えて飛ばし、アナクレトは会社を継ぐ準備を進めながらときが流れるのを待った」
中には椅子が二つと小さな机が置いてあるだけで窓ひとつなかった。
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「話したいことが山ほどあるのだけど、とりあえず座ってくるかな」
「あ、はい」
言われるがままに椅子に座ると、ロジェは扉の鍵を締めてから椅子に座った。
これで誰もこの部屋に入れなくなった、ってことか。
もしかして壁も特殊な加工をされていたりして。
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「勿論です。よろしくお願いします」
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