97 / 138
97
しおりを挟む
男性は背後にいる人物に向けて手だけ向けると、何冊かのファイルを手渡されていた。
それらを無言で受け取り、アナクレトの前に見せた。
「あんたが社長になってからの動向を調べさせて貰った。こうして証拠も残っていることだ。逃げようが隠れようが無駄だ」
言うことは言った、という風にさっさとファイルは背後の人に返してタバコを吸い始めたその男にアナクレトは怒りを露にした。
「一職員が何勝手なことをしている!?」
「自分を守るための行為、でしょうかね。一般庶民としてはいくら仕事とはいえ、違法行為で己の手を染めたくはありませんから」
聞いたことのある声だと思っていると、タバコを吸っている男性の背後からビセンテの元気そうな姿が見えた。
無事だったのか、良かった。
「国民を守るべき憲兵に異例の指示を出されていたようですし、本来交わるべき場所ではない所に争いを敢えて生じさせたりと色々とされたようですね」
ビセンテは手に持ったファイルをざっと見た後、目の前の男性の背中にそれを押し付けた。
「話は長くなりますし残りは憲兵室でお話しましょうか。この男………憲兵にご同行ください。あ、嫌だとか言わないでください。目苦しい姿ばかりを大切な方へお見せすることになりますし、これ以上、貴方だって嫌われたくないでしょう?」
「醜い姿を見せた所で今日という一日の記憶をその石で消し去ろうとするような男だ。そんな人物が簡単に同行するとは思えんよ、ビセンテ君」
それらを無言で受け取り、アナクレトの前に見せた。
「あんたが社長になってからの動向を調べさせて貰った。こうして証拠も残っていることだ。逃げようが隠れようが無駄だ」
言うことは言った、という風にさっさとファイルは背後の人に返してタバコを吸い始めたその男にアナクレトは怒りを露にした。
「一職員が何勝手なことをしている!?」
「自分を守るための行為、でしょうかね。一般庶民としてはいくら仕事とはいえ、違法行為で己の手を染めたくはありませんから」
聞いたことのある声だと思っていると、タバコを吸っている男性の背後からビセンテの元気そうな姿が見えた。
無事だったのか、良かった。
「国民を守るべき憲兵に異例の指示を出されていたようですし、本来交わるべき場所ではない所に争いを敢えて生じさせたりと色々とされたようですね」
ビセンテは手に持ったファイルをざっと見た後、目の前の男性の背中にそれを押し付けた。
「話は長くなりますし残りは憲兵室でお話しましょうか。この男………憲兵にご同行ください。あ、嫌だとか言わないでください。目苦しい姿ばかりを大切な方へお見せすることになりますし、これ以上、貴方だって嫌われたくないでしょう?」
「醜い姿を見せた所で今日という一日の記憶をその石で消し去ろうとするような男だ。そんな人物が簡単に同行するとは思えんよ、ビセンテ君」
93
お気に入りに追加
460
あなたにおすすめの小説
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる