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男性は背後にいる人物に向けて手だけ向けると、何冊かのファイルを手渡されていた。
それらを無言で受け取り、アナクレトの前に見せた。
「あんたが社長になってからの動向を調べさせて貰った。こうして証拠も残っていることだ。逃げようが隠れようが無駄だ」
言うことは言った、という風にさっさとファイルは背後の人に返してタバコを吸い始めたその男にアナクレトは怒りを露にした。
「一職員が何勝手なことをしている!?」
「自分を守るための行為、でしょうかね。一般庶民としてはいくら仕事とはいえ、違法行為で己の手を染めたくはありませんから」
聞いたことのある声だと思っていると、タバコを吸っている男性の背後からビセンテの元気そうな姿が見えた。
無事だったのか、良かった。
「国民を守るべき憲兵に異例の指示を出されていたようですし、本来交わるべき場所ではない所に争いを敢えて生じさせたりと色々とされたようですね」
ビセンテは手に持ったファイルをざっと見た後、目の前の男性の背中にそれを押し付けた。
「話は長くなりますし残りは憲兵室でお話しましょうか。この男………憲兵にご同行ください。あ、嫌だとか言わないでください。目苦しい姿ばかりを大切な方へお見せすることになりますし、これ以上、貴方だって嫌われたくないでしょう?」
「醜い姿を見せた所で今日という一日の記憶をその石で消し去ろうとするような男だ。そんな人物が簡単に同行するとは思えんよ、ビセンテ君」
それらを無言で受け取り、アナクレトの前に見せた。
「あんたが社長になってからの動向を調べさせて貰った。こうして証拠も残っていることだ。逃げようが隠れようが無駄だ」
言うことは言った、という風にさっさとファイルは背後の人に返してタバコを吸い始めたその男にアナクレトは怒りを露にした。
「一職員が何勝手なことをしている!?」
「自分を守るための行為、でしょうかね。一般庶民としてはいくら仕事とはいえ、違法行為で己の手を染めたくはありませんから」
聞いたことのある声だと思っていると、タバコを吸っている男性の背後からビセンテの元気そうな姿が見えた。
無事だったのか、良かった。
「国民を守るべき憲兵に異例の指示を出されていたようですし、本来交わるべき場所ではない所に争いを敢えて生じさせたりと色々とされたようですね」
ビセンテは手に持ったファイルをざっと見た後、目の前の男性の背中にそれを押し付けた。
「話は長くなりますし残りは憲兵室でお話しましょうか。この男………憲兵にご同行ください。あ、嫌だとか言わないでください。目苦しい姿ばかりを大切な方へお見せすることになりますし、これ以上、貴方だって嫌われたくないでしょう?」
「醜い姿を見せた所で今日という一日の記憶をその石で消し去ろうとするような男だ。そんな人物が簡単に同行するとは思えんよ、ビセンテ君」
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