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セヴランの情報が正しい場合、1ヶ月俺に投げつけてきたマナは試作品である可能性が高い。
そうでなければ、マナを投げた本人に触れて元に戻らないはずがない。
他人に投げさせたという線もあるから、そうとは言いきれないけれど。
「何を言い出しかと思えば。オレがそんなことするわけないだろう」
「本当にそうかな。ルイ君はアナクレトが指示した人物に閉じ込められたと言っていた。そして、アナクレトを見て怯えたようにも見えたし恨んでいるようにも見えた。そんな恐怖とも言える人物が自分に近付いてきたら普通なら距離を取るはずなのに、ルイ君はアナクレトが伸ばした手を素早く掴んだんだ。可笑しいと思わないはずないだろう」
言われてみればそうだった。
身体を戻すことに集中していてセヴランがどう思うか考えてなかったな。
もっと怪しまれない方法を取れば良かったか。
いや、でもこの機会を逃せばアナクレトと接触する機会なんてなさそうだったし、なんて今更か。
「それだけでオレが試作品を使用したと言ったのかい?」
「それだけ?本当にかな。通常のマナだと思って解除を試みようとした場合、身体に与えたマナを解除する方法は使用した人物に触れることで解除される。だから、ルイ君は解除しようと掴みたくもないアナクレトの手を掴んで、何も起こらないことにショックを受けルイ君は落ち込んでいた。つまり、通常のマナを使用していれば何かしらの変化が得られるものだったんだよ。それが得られなかったということは、得られないよう小細工されたマナを使用したとしか考えられない……現状、そんなことが出来るマナは試作品しかあり得ないんだよ」
ちなみに身体にマナを使用する行為は違法だから、とセヴランは言い、抱き締めていた腕の力を込めながらアナクレトを睨み付けていた。
そうでなければ、マナを投げた本人に触れて元に戻らないはずがない。
他人に投げさせたという線もあるから、そうとは言いきれないけれど。
「何を言い出しかと思えば。オレがそんなことするわけないだろう」
「本当にそうかな。ルイ君はアナクレトが指示した人物に閉じ込められたと言っていた。そして、アナクレトを見て怯えたようにも見えたし恨んでいるようにも見えた。そんな恐怖とも言える人物が自分に近付いてきたら普通なら距離を取るはずなのに、ルイ君はアナクレトが伸ばした手を素早く掴んだんだ。可笑しいと思わないはずないだろう」
言われてみればそうだった。
身体を戻すことに集中していてセヴランがどう思うか考えてなかったな。
もっと怪しまれない方法を取れば良かったか。
いや、でもこの機会を逃せばアナクレトと接触する機会なんてなさそうだったし、なんて今更か。
「それだけでオレが試作品を使用したと言ったのかい?」
「それだけ?本当にかな。通常のマナだと思って解除を試みようとした場合、身体に与えたマナを解除する方法は使用した人物に触れることで解除される。だから、ルイ君は解除しようと掴みたくもないアナクレトの手を掴んで、何も起こらないことにショックを受けルイ君は落ち込んでいた。つまり、通常のマナを使用していれば何かしらの変化が得られるものだったんだよ。それが得られなかったということは、得られないよう小細工されたマナを使用したとしか考えられない……現状、そんなことが出来るマナは試作品しかあり得ないんだよ」
ちなみに身体にマナを使用する行為は違法だから、とセヴランは言い、抱き締めていた腕の力を込めながらアナクレトを睨み付けていた。
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