新しい道を歩み始めた貴方へ

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「ごほっ！ごほっごほっごほっ」


思わず噎せ込み、背中を丸め咳き込んでいるとビセンテが背中を擦りながら水の入ったコップを近くに置いてくれた。


「大丈夫ですか？」


「だ、大丈夫です。ありがとうございます」


いや、え、何で急に恋ばなになったんだよ。
今回の事件とかロジェとかと何か関係あるのか？
ま、ま、まさか、その人がロジェとか、フィリッポだとか、エリックとか？


「突然すみません。世間ではあまり受け入れられにくいものだなので、言わないようにしているのですが、何故でしょう。ルイ君になら話しても大丈夫なんじゃないかって思ってしまったのですよ」


それは俺も男を好きになったことがあるからじゃないですかね、とは噎せてるのもあって言えないけど。


「もし、嫌でなければ話の続きを聞いていただけますか？」


俺はまだ噎せ込みが止まらなかったので、首だけ立てに何度もふった。
それを見たビセンテは困ったように微笑んだ後、口を開いた。


「その恋ですが、実るはずもないまま時が流れ、事件解決目前にあの男は行方を眩まし、今もなお行方不明となっております」