52 / 138
52
しおりを挟む
「14年前……ですか?」
「あ」
しまった。
ビセンテには俺が実際は31歳だって話してなかったんだった。
ロジェがあえて附せていたのに、自分で明かしてどうする。
「まぁまぁ、その話は事務所戻ってから話そうよ。ルイ君もそれで良いよね?」
「あ、あぁ」
自分の失言に頭を抱えたくなっていると、ビセンテに頭を撫でられた。
「大丈夫です。ですから、そんなに不安げな表情を浮かべないでください」
あ、この人、女性にモテそうだな、なんて思えるくらいにはゆとりが出てきたと同時に何でこんないい人がフィリッポやエリックに対して冷たい態度を取るのかが謎だった。
「さぁ、早く戻ろうよ。留まってると良いことないしね、こんな風に」
『こんな風に』?と思って荷台の隙間から外を見てみると、エリックの格好を真似た集団が俺たちを囲んでいた。
「エリック君の昔の仲間ですか?」
「馬鹿なこと言わないでくださいよ。昔の仲間とは一切縁を切ったし、既にその組織はどっかの誰かさんが片付けたはずでしょう?」
「それは失礼しました。でしたら、この人たちは何で貴方そっくりな格好をされているのでしょうか」
「そんなの僕が知りたいくらいだよ。真似るなら本人から許可を得て欲しいよね」
そう言いながら背中合わせで戦闘態勢に入る2人に、おーい、俺はどうすれば良いんですかね?自分の身は自分で守れってことですか?と内心問い掛けていた。
「あ」
しまった。
ビセンテには俺が実際は31歳だって話してなかったんだった。
ロジェがあえて附せていたのに、自分で明かしてどうする。
「まぁまぁ、その話は事務所戻ってから話そうよ。ルイ君もそれで良いよね?」
「あ、あぁ」
自分の失言に頭を抱えたくなっていると、ビセンテに頭を撫でられた。
「大丈夫です。ですから、そんなに不安げな表情を浮かべないでください」
あ、この人、女性にモテそうだな、なんて思えるくらいにはゆとりが出てきたと同時に何でこんないい人がフィリッポやエリックに対して冷たい態度を取るのかが謎だった。
「さぁ、早く戻ろうよ。留まってると良いことないしね、こんな風に」
『こんな風に』?と思って荷台の隙間から外を見てみると、エリックの格好を真似た集団が俺たちを囲んでいた。
「エリック君の昔の仲間ですか?」
「馬鹿なこと言わないでくださいよ。昔の仲間とは一切縁を切ったし、既にその組織はどっかの誰かさんが片付けたはずでしょう?」
「それは失礼しました。でしたら、この人たちは何で貴方そっくりな格好をされているのでしょうか」
「そんなの僕が知りたいくらいだよ。真似るなら本人から許可を得て欲しいよね」
そう言いながら背中合わせで戦闘態勢に入る2人に、おーい、俺はどうすれば良いんですかね?自分の身は自分で守れってことですか?と内心問い掛けていた。
177
お気に入りに追加
730
あなたにおすすめの小説

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!



巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる