新しい道を歩み始めた貴方へ

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告白をするつもりは全くなかった。
付き合いたいとも思ったことはなかった。
ただ勝手に思うだけで良かったんだ。

なのにあの人は見た目に反して優しい人だから、過って伝えてしまった言葉に、ノーとは言えず、辿々しくイエスと答えてくれただけだった。

そんな人だから、付き合っていたことは誰にも知らせなかったし、恋人らしいことなど何一つしなかった、いやさせなかった。
させたくなかった。
あの人にとっての汚点をこれ以上、つくって欲しくなかったのだ。

2人で遊ぶこともなかったし、昼も別々に食べていた。
帰り道だって別々だったし、そもそも部活に入っていたあの人と帰宅部だった俺とでは帰る時間が違っていた。

あの人は俺と違って真面目だったから、ご飯を一緒にだとか、せめて帰り道は一緒にとか気を遣ってくれたけど、俺が全て拒否した。

ただでさえ、不良であった俺と真面目なあの人との繋がりがあると周りが知ったら何を思われるか分かったものではないからな。


友達よりも関係性の低い存在を継続させ、かれこれ半年。
そのとき事件が起きた。
たまたまあの人といたタイミングで突如倒れ、俺のことを忘れこの地を去ったのだ。


「………もう14年前でしょうか。この地を去ったはずの男の名前が、聞こえたんです」