新しい道を歩み始めた貴方へ

41

今ので何が分かったって言うんだ？
まさか、この人の目には何か特殊な何か……があるわけないな。


「ありがとうございます。是非、お力を貸してください。よろしくお願いします」


とりあえず頭を下げておこう。


「はい、私に出来ることがあれば何でも仰ってください。ロジェさん、早速何からお手伝いしましょうか」


「ビセンテには憲兵の人たちが持っているファイル作成に誰が関わっているか調べて貰いたいんだが、お願いできるか」


「ファイルですか？それなら調べずとも分かりますよ」


「本当ですか？！」


あ、と思わず大きな声をあげてしまったので両手で口を覆うと、ビセンテに優しく微笑まれた。


「はい。あのファイルは憲兵の上層部役員の他に、国のトップや大手企業『ナセリ』が作成に関わっています。その他にも関わっている方はいらっしゃいますが、実際に取り締まっている方々はその方々のみです」


『ナセリ』ってアナクレトが社長になった会社だよな。
まさかそんな所にも手を伸ばしていたとは。


「『ナセリ』………」


ロジェも『ナセリ』の企業名を呟き、両腕を組んだ。
ドア付近で黙り込んでいた2人もその企業名には驚きが隠せていないようで、2人して顔を見合せ小声で話しているようだった。