新しい道を歩み始めた貴方へ

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収穫を得られず、事務所へ戻ると仁王立ちのフィリッポがいた。
これは置いていかれたのに拗ねているのだろうな。


「おはよう、フィリッポさん。やっと目覚めたんだね」


エリックが平然とそう声を掛ければ、ギロリとフィリッポが睨んできた。
怖い顔が更に怖いことに。
これが幼い子供なら今頃泣いてると思う。


「言っておくけど、俺は声かけたし蹴りもしたから」


蹴りは過激すぎる気もするが、それでも起きなかったもんな。


「そういうときは引っ張り倒せって言ってるだろ」


「嫌だよ。フィリッポさん重いから」


いやいや、ロジェさん？重くなかったらやるみたいな流れになってるけど、起こすためとはいえ、引っ張り倒しちゃダメだろう。
普通に起こすっていう選択肢はないのか……ないのだろうな。
あれだけのことしても起きないのだから。


「ったく。何で襲撃で起きなきゃならねぇんだよ」


舌打ちしながらそう言ったフィリッポの言葉に俺たちは驚き、エリックは瞬時に訊ねた。


「え？フィリッポさん、襲撃にあったの？」


「ん？あぁ。サングラスかけた変な男どもにな。ま、蹴散らしてやったけど」


サングラスをかけた男ってイッポリートのもとへ行った奴らと全く同じ。
そこも俺がいないときを狙って来ているような気がする。
それを意味するものとは一体。