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何で依頼主と説明しなかったのか疑問に思ったが、ロジェのことだから何か意味があるのだろう。
「ふーん、早く帰れるといいな」
男はそう言いながら俺の頭を撫でた。
あれ、見た目より怖くないなこの人。
それに何かこの頭の撫で方、ローカルに似ているような気が……気のせいだと思うけど。
「ありがとう………ございます」
「おう」
俺の言葉に男はそう返すと、手を退かして机にあった空き缶の山を片付け始めた。
「兄貴がいるってのにこんなに部屋汚しやがって」
ブツブツと言いながらそれらを一気に片付け始め、更には口を大きく開けて寝ていたフィリッポにブランケットまで掛けてた。
あれ、この人って見た目詐欺みたいな人だな。
エリックもそう思ったのか分からないが、俺の腹部に回っていた手が外れ、距離は離れないものの視線は俺ではなくその男へと向けられていた。
「相変わらず、フィリッポさん第1だな。イッポリート」
苦笑いを浮かべながらロジェがそう言った。
え、イッポリートって、アンリとローカルのひとり息子で、放浪していた所を連れ戻されたあの?
「あ?当然だろ。俺にとって兄貴は最優先事項だ」
全然背丈も顔もふたりに似てないんだが。
さっき撫で方がローカルに似てるなとか思ったけど、そこしか似てるところないのだが。
もしかして、サングラス取ったらどちらかの目に似てるとか?
気になるけど、今はやめておこう。
「それならもっと早くに戻ってくれば良かったのにな」
「それは言うな」
何故悔しそうにそう言ったのか理由は分からないが、訊ねない方が良さそうだ。
「んなことよりどうなってんだよ。帰ってきて早々知らねぇ野郎どもが朝っぱらから来やがったんだが?」
「え………」
まさか、俺のことをつけていた奴が仲間を呼んで?
でも、俺があの家にいないことなんてつけていたら分かっていたはずなのに。
いや、いなかったからこそ狙ったのか?
「ふーん、早く帰れるといいな」
男はそう言いながら俺の頭を撫でた。
あれ、見た目より怖くないなこの人。
それに何かこの頭の撫で方、ローカルに似ているような気が……気のせいだと思うけど。
「ありがとう………ございます」
「おう」
俺の言葉に男はそう返すと、手を退かして机にあった空き缶の山を片付け始めた。
「兄貴がいるってのにこんなに部屋汚しやがって」
ブツブツと言いながらそれらを一気に片付け始め、更には口を大きく開けて寝ていたフィリッポにブランケットまで掛けてた。
あれ、この人って見た目詐欺みたいな人だな。
エリックもそう思ったのか分からないが、俺の腹部に回っていた手が外れ、距離は離れないものの視線は俺ではなくその男へと向けられていた。
「相変わらず、フィリッポさん第1だな。イッポリート」
苦笑いを浮かべながらロジェがそう言った。
え、イッポリートって、アンリとローカルのひとり息子で、放浪していた所を連れ戻されたあの?
「あ?当然だろ。俺にとって兄貴は最優先事項だ」
全然背丈も顔もふたりに似てないんだが。
さっき撫で方がローカルに似てるなとか思ったけど、そこしか似てるところないのだが。
もしかして、サングラス取ったらどちらかの目に似てるとか?
気になるけど、今はやめておこう。
「それならもっと早くに戻ってくれば良かったのにな」
「それは言うな」
何故悔しそうにそう言ったのか理由は分からないが、訊ねない方が良さそうだ。
「んなことよりどうなってんだよ。帰ってきて早々知らねぇ野郎どもが朝っぱらから来やがったんだが?」
「え………」
まさか、俺のことをつけていた奴が仲間を呼んで?
でも、俺があの家にいないことなんてつけていたら分かっていたはずなのに。
いや、いなかったからこそ狙ったのか?
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