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俺の心配を他所にロジェとエリックは眠ったようで、俺も疲れていたのか背凭れに寄りかかったまま眠ったようだった。
それから何時間が経過しただろう。
事務所に光が入り込んで暫く経った頃に、入り口付近が騒がしくなり俺は目を覚ました。
「何だ………?」
目を擦り、騒がしい入り口に視線を向けようとすると、俺の腰に誰かの腕が巻きつき、そのまま後ろに引っ張られその人物の胸に俺の背中がくっついた。
「しっ!静かに」
耳元でエリックの声が聞こえ、あぁ、エリックか、と強張った身体の力を抜いた。
「早速お出ましか」
正面に座って寝ていた筈のロジェは、身体を伸ばしながらそう言うと怪しげに微笑んでいた。
その横で寝ているフィリッポは、音に気がついていないのかいまだに眠っている。
これだけの爆音でも寝れるなんてある意味才能だと思うな。
「え?ロジェさんの知り合い?」
「俺というよりフィリッポさんだな」
「フィリッポさん関連?それってまさか」
エリックとロジェの会話の途中で入り口のドアが豪快に左右に開かれ、ひとりの男が堂々と中に入り込んできた。
身長が高く、フィリッポのように体格がよく、顔が強面。
黒のグラサンをつけ、唇は怪我でもしたのか切れているし、頬も殴られたあとのような痕がついていた。
右手の拳は赤くなっているし、まるで喧嘩でもしたあとのように見える。
「おい、説明しやがれ、ロジェ。一体どうなっていやがる」
ドスの効いた声と共に遠慮なく事務所へ入り込んでくる男にロジェは面倒くさそうに言った。
「それはこの事務所の状況?それとも自宅の状況か?」
「どっちもに決まってるだろ!」
突然大声を発したかと思えば、何故か俺を見て眉を潜めた。
「何だ?このガキは。迷子か?」
「ある依頼で保護してる子供だ。手を出すなよ」
それから何時間が経過しただろう。
事務所に光が入り込んで暫く経った頃に、入り口付近が騒がしくなり俺は目を覚ました。
「何だ………?」
目を擦り、騒がしい入り口に視線を向けようとすると、俺の腰に誰かの腕が巻きつき、そのまま後ろに引っ張られその人物の胸に俺の背中がくっついた。
「しっ!静かに」
耳元でエリックの声が聞こえ、あぁ、エリックか、と強張った身体の力を抜いた。
「早速お出ましか」
正面に座って寝ていた筈のロジェは、身体を伸ばしながらそう言うと怪しげに微笑んでいた。
その横で寝ているフィリッポは、音に気がついていないのかいまだに眠っている。
これだけの爆音でも寝れるなんてある意味才能だと思うな。
「え?ロジェさんの知り合い?」
「俺というよりフィリッポさんだな」
「フィリッポさん関連?それってまさか」
エリックとロジェの会話の途中で入り口のドアが豪快に左右に開かれ、ひとりの男が堂々と中に入り込んできた。
身長が高く、フィリッポのように体格がよく、顔が強面。
黒のグラサンをつけ、唇は怪我でもしたのか切れているし、頬も殴られたあとのような痕がついていた。
右手の拳は赤くなっているし、まるで喧嘩でもしたあとのように見える。
「おい、説明しやがれ、ロジェ。一体どうなっていやがる」
ドスの効いた声と共に遠慮なく事務所へ入り込んでくる男にロジェは面倒くさそうに言った。
「それはこの事務所の状況?それとも自宅の状況か?」
「どっちもに決まってるだろ!」
突然大声を発したかと思えば、何故か俺を見て眉を潜めた。
「何だ?このガキは。迷子か?」
「ある依頼で保護してる子供だ。手を出すなよ」
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