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久しぶりに帰った自宅を後にして、事務所へ戻るとテーブルの上に沢山のアルコールが入っていたであろう空き缶が置いてあった。
ソファにはエリックが力なく座っており、その正面には天井周辺を動き回っている機械を操縦しているフィリッポがいた。
「おう、お早いお戻りで」
コントローラー片手にフィリッポはそう言い、空いた手でテーブルにあった缶を持っていた。
恐らくこれら全てフィリッポが飲んだ残骸だろう。
「お帰り、ふたりとも。ルイ君と屋上に残ったときから何となくこうなるんじゃないかなぁとは思ってたけど、本当にそうなるとはね」
「え、そんなこと思ってたのか」
俺が驚いた声を出せば、エリックは座り直しながら頷いた。
「うん。このふたりがいきなりあんなこと言い出すのも、僕にあんなことを言わせるのも、犯人の疑いを敢えてかけるのも、全て誰かにつけられていることを前提だったからね」
まぁ、後半は僕を弄りたいだけかもしれないけどね、とエリックは言うとフィリッポは。
「あんなにそっくりだと弄りたくもなるだろ」
「僕のことは弄らなくていいから」
と言い合っていた。
ここの事務所の人たちは俺が気付かないことに真っ先に気付き、それらを踏まえて行動している。
そんな彼らならきっと解決できる、そんな気がしてきた。
ソファにはエリックが力なく座っており、その正面には天井周辺を動き回っている機械を操縦しているフィリッポがいた。
「おう、お早いお戻りで」
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恐らくこれら全てフィリッポが飲んだ残骸だろう。
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「え、そんなこと思ってたのか」
俺が驚いた声を出せば、エリックは座り直しながら頷いた。
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