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ロジェの言葉に同意した俺たちは、俺の身体が縮んだ現場へと直行した。
約1か月ぶりに来たその道は特に何も変わっていなかった。
そこから僅かに見える俺が以前まで住んでいたアパートも変わりないように見える。
暫く帰ってないから埃被ってそうだな。
冷蔵庫は前から何も入ってなかったから、中身が腐るなんてことはない。
「ここか」
「見通しのいい道路だね。死角になる部分とかあるかな」
周りを見渡し始めたエリックやフィリッポにたいし、ロジェはポケットから手鏡を取り出した。
何に使うのかと黙ってその様子を見ていると、ロジェの顔を写していたはずの鏡が歪み出した。
「え、それ」
「ん?あぁ、1ヶ月前のここの状況を見てみようと思って」
「そんなこと出来るんですか?」
「マナを使えば簡単にな」
そう言っている間にも鏡はまるで画面を早送りしているかのように高速に動き続けている。
「よし、このくらいだな」
ロジェはそっと鏡を人差し指で押すと、動いていたものがその部分で止まった。
そこには仕事へ向かう俺の後ろ姿があった。
久しぶりに見る自分の姿に懐かしさすら感じるとは何とも複雑だ。
「お、これが元のルイか。思っていたよりかはタッパあるな」
背後からフィリッポがそれを覗き込み、その隣にエリックも来た。
「175はありました」
「それじゃあ、僕とだいたい同じくらいだ」
エリックが俺の元の身長と同じ……、と思いつつエリックを見上げれば、首が痛くなる位置に顔があった。
極端に大きい方ではないと思っていたけれど、子供からしてみれば俺の身長も十分大きいのだな。
「小さいなぁ。俺なんて188だぞ」
「フィリッポさんが大きすぎるだけだよ。ねぇ、ロジェさん」
「そうだな。少し身長分けて欲しいくらいだ」
ちなみに俺は173だ、とロジェは呟いていた。
この国の男性平均身長は170センチだから、そう考えるとここにいるメンバーは平均を上回ってるんだよな。
「とまぁ、身長の話はここまでとして。この光、ルイ君の真上からだよな。それがどういうことか分かるか」
「どういうことだ?」
約1か月ぶりに来たその道は特に何も変わっていなかった。
そこから僅かに見える俺が以前まで住んでいたアパートも変わりないように見える。
暫く帰ってないから埃被ってそうだな。
冷蔵庫は前から何も入ってなかったから、中身が腐るなんてことはない。
「ここか」
「見通しのいい道路だね。死角になる部分とかあるかな」
周りを見渡し始めたエリックやフィリッポにたいし、ロジェはポケットから手鏡を取り出した。
何に使うのかと黙ってその様子を見ていると、ロジェの顔を写していたはずの鏡が歪み出した。
「え、それ」
「ん?あぁ、1ヶ月前のここの状況を見てみようと思って」
「そんなこと出来るんですか?」
「マナを使えば簡単にな」
そう言っている間にも鏡はまるで画面を早送りしているかのように高速に動き続けている。
「よし、このくらいだな」
ロジェはそっと鏡を人差し指で押すと、動いていたものがその部分で止まった。
そこには仕事へ向かう俺の後ろ姿があった。
久しぶりに見る自分の姿に懐かしさすら感じるとは何とも複雑だ。
「お、これが元のルイか。思っていたよりかはタッパあるな」
背後からフィリッポがそれを覗き込み、その隣にエリックも来た。
「175はありました」
「それじゃあ、僕とだいたい同じくらいだ」
エリックが俺の元の身長と同じ……、と思いつつエリックを見上げれば、首が痛くなる位置に顔があった。
極端に大きい方ではないと思っていたけれど、子供からしてみれば俺の身長も十分大きいのだな。
「小さいなぁ。俺なんて188だぞ」
「フィリッポさんが大きすぎるだけだよ。ねぇ、ロジェさん」
「そうだな。少し身長分けて欲しいくらいだ」
ちなみに俺は173だ、とロジェは呟いていた。
この国の男性平均身長は170センチだから、そう考えるとここにいるメンバーは平均を上回ってるんだよな。
「とまぁ、身長の話はここまでとして。この光、ルイ君の真上からだよな。それがどういうことか分かるか」
「どういうことだ?」
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