新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro

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「ちなみに」


フィリッポは人指す指を立て、自慢げに言った。


「そのファイルには俺やロジェ、エリックの名前も入ってるぜ」


「え」


何故?と問いかけるよりも早く、ロジェがその理由を答えてくれた。


「憲兵には憲兵にしか得られない情報があるように、探偵には探偵にしか得られない情報がある。それを入手したいと奴らが思ったとき、探偵の名前を知っておく必要があるんだと。そのときのために名前が記載されているらしい」


「彼らにしてみたら名前さえ分かれば、居場所を掴むのなんて簡単だからね。それから情報提供依頼でもすれば仕事が早く片付くし、奴らにとっては便利なファイルだよね」


それだけの情報を彼らは持っているから、簡単に居場所を絞り込めるってことか。
それだけ聞くと有能な人たちと聞こえるが、あのときの態度と今の俺の状況からしてそうとは思いたくない。


「まぁ、俺たちの名前が載ってるのとルイ君が名前が載るのじゃ意味が全く違うけどな。何か思い当たるものはあるか?」


「いえ、全くないです。犯罪行為も違法行為も行っていないですし、迷惑行為も行った覚えもないです」


これっぽっちも思い付かないが、気付いていないだけで何か見落としていることでもあるのだろう。
俺は一体、何を見落としているんだ?


「分かってれば困ってないよな」


大きく脚を伸ばし、背凭れに寄りかかりながら天井を眺めるフィリッポがそう呟いたのにたいして大きく頷けば、ロジェがスッとソファから立ち上がった。


「ここで顔を付き合わせていても埒が明かない。ルイ君が被害に遭った場所を見に行くぞ」
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