10 / 138
10
しおりを挟む
「ちなみに」
フィリッポは人指す指を立て、自慢げに言った。
「そのファイルには俺やロジェ、エリックの名前も入ってるぜ」
「え」
何故?と問いかけるよりも早く、ロジェがその理由を答えてくれた。
「憲兵には憲兵にしか得られない情報があるように、探偵には探偵にしか得られない情報がある。それを入手したいと奴らが思ったとき、探偵の名前を知っておく必要があるんだと。そのときのために名前が記載されているらしい」
「彼らにしてみたら名前さえ分かれば、居場所を掴むのなんて簡単だからね。それから情報提供依頼でもすれば仕事が早く片付くし、奴らにとっては便利なファイルだよね」
それだけの情報を彼らは持っているから、簡単に居場所を絞り込めるってことか。
それだけ聞くと有能な人たちと聞こえるが、あのときの態度と今の俺の状況からしてそうとは思いたくない。
「まぁ、俺たちの名前が載ってるのとルイ君が名前が載るのじゃ意味が全く違うけどな。何か思い当たるものはあるか?」
「いえ、全くないです。犯罪行為も違法行為も行っていないですし、迷惑行為も行った覚えもないです」
これっぽっちも思い付かないが、気付いていないだけで何か見落としていることでもあるのだろう。
俺は一体、何を見落としているんだ?
「分かってれば困ってないよな」
大きく脚を伸ばし、背凭れに寄りかかりながら天井を眺めるフィリッポがそう呟いたのにたいして大きく頷けば、ロジェがスッとソファから立ち上がった。
「ここで顔を付き合わせていても埒が明かない。ルイ君が被害に遭った場所を見に行くぞ」
フィリッポは人指す指を立て、自慢げに言った。
「そのファイルには俺やロジェ、エリックの名前も入ってるぜ」
「え」
何故?と問いかけるよりも早く、ロジェがその理由を答えてくれた。
「憲兵には憲兵にしか得られない情報があるように、探偵には探偵にしか得られない情報がある。それを入手したいと奴らが思ったとき、探偵の名前を知っておく必要があるんだと。そのときのために名前が記載されているらしい」
「彼らにしてみたら名前さえ分かれば、居場所を掴むのなんて簡単だからね。それから情報提供依頼でもすれば仕事が早く片付くし、奴らにとっては便利なファイルだよね」
それだけの情報を彼らは持っているから、簡単に居場所を絞り込めるってことか。
それだけ聞くと有能な人たちと聞こえるが、あのときの態度と今の俺の状況からしてそうとは思いたくない。
「まぁ、俺たちの名前が載ってるのとルイ君が名前が載るのじゃ意味が全く違うけどな。何か思い当たるものはあるか?」
「いえ、全くないです。犯罪行為も違法行為も行っていないですし、迷惑行為も行った覚えもないです」
これっぽっちも思い付かないが、気付いていないだけで何か見落としていることでもあるのだろう。
俺は一体、何を見落としているんだ?
「分かってれば困ってないよな」
大きく脚を伸ばし、背凭れに寄りかかりながら天井を眺めるフィリッポがそう呟いたのにたいして大きく頷けば、ロジェがスッとソファから立ち上がった。
「ここで顔を付き合わせていても埒が明かない。ルイ君が被害に遭った場所を見に行くぞ」
261
お気に入りに追加
460
あなたにおすすめの小説
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m
家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる