新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro

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また憲兵と同じような反応が返ってくるのではと警戒をしたが、正面からも背後からも返ってきた反応は全く異なるものだった。


「え、僕より歳上なの?」


「何だ?エリック。依頼人の見た目で驚かされるようじゃ探偵としてまだまだだなぁ」


「もう、そういうフィリッポさんはどうなのさ。年齢聞いて驚かないの?」


「俺はちょっとやそっとのことじゃ驚かないさ。ロジェだってそうだよなぁ?」


「そうだな」


「ロジェさんまで酷いなぁ」


彼らは俺の名前ではなく、年齢に反応を示しただけだったのだ。
普通はそうだよな。
名前よりもこんな見た目の子供が実は31歳なんだと言われれば驚くのが普通か。
その様子にホッとして、強張っていた身体の力を僅かに抜いた。


「で?ルイ君は何に悩んでるんだ」


ロジェは真っ直ぐな視線を俺に向け、身体を前のめりにした。


「はい、実は」


俺はそんな彼らを信用し、ここ1ヶ月に起きた出来事を話した。
通勤途中、変な光を浴びて身体が小さくなったこと。
それから職場の社長とともに憲兵のもとへ行ったこと。
マナの違法使用が原因でこの身体になったから犯人を捕まえて欲しいと依頼し、俺の名前を出したら、急に態度が変わったこと。
1ヶ月待ったが、憲兵から1度も連絡が来なかったことも、今後どうするべきか悩んでいたことも全てだ。
その間、彼らは黙って話を真剣に聞いてくれ、俺が話し終わるまで誰ひとりとして口を開くことはなかった。

話し終わった後、始めに口を開いたのはロジェだった。


「ルイ君が見たファイルってのは、憲兵たちが上層部から手渡されているもので、重要人物たちが書かれたファイルだ」


「『重要人物たちが書かれたファイル』?その中に俺の名前が?」


重要人物って俺はただの庶民で、憲兵の人々やその上層部の人々が警戒するような人物ではないはずだ。
なのに何でそんな1庶民がファイルの中に名前を入れられたのだろう。


「あぁ。憲兵の反応からして間違いない」
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