9 / 138
9
しおりを挟む
また憲兵と同じような反応が返ってくるのではと警戒をしたが、正面からも背後からも返ってきた反応は全く異なるものだった。
「え、僕より歳上なの?」
「何だ?エリック。依頼人の見た目で驚かされるようじゃ探偵としてまだまだだなぁ」
「もう、そういうフィリッポさんはどうなのさ。年齢聞いて驚かないの?」
「俺はちょっとやそっとのことじゃ驚かないさ。ロジェだってそうだよなぁ?」
「そうだな」
「ロジェさんまで酷いなぁ」
彼らは俺の名前ではなく、年齢に反応を示しただけだったのだ。
普通はそうだよな。
名前よりもこんな見た目の子供が実は31歳なんだと言われれば驚くのが普通か。
その様子にホッとして、強張っていた身体の力を僅かに抜いた。
「で?ルイ君は何に悩んでるんだ」
ロジェは真っ直ぐな視線を俺に向け、身体を前のめりにした。
「はい、実は」
俺はそんな彼らを信用し、ここ1ヶ月に起きた出来事を話した。
通勤途中、変な光を浴びて身体が小さくなったこと。
それから職場の社長とともに憲兵のもとへ行ったこと。
マナの違法使用が原因でこの身体になったから犯人を捕まえて欲しいと依頼し、俺の名前を出したら、急に態度が変わったこと。
1ヶ月待ったが、憲兵から1度も連絡が来なかったことも、今後どうするべきか悩んでいたことも全てだ。
その間、彼らは黙って話を真剣に聞いてくれ、俺が話し終わるまで誰ひとりとして口を開くことはなかった。
話し終わった後、始めに口を開いたのはロジェだった。
「ルイ君が見たファイルってのは、憲兵たちが上層部から手渡されているもので、重要人物たちが書かれたファイルだ」
「『重要人物たちが書かれたファイル』?その中に俺の名前が?」
重要人物って俺はただの庶民で、憲兵の人々やその上層部の人々が警戒するような人物ではないはずだ。
なのに何でそんな1庶民がファイルの中に名前を入れられたのだろう。
「あぁ。憲兵の反応からして間違いない」
「え、僕より歳上なの?」
「何だ?エリック。依頼人の見た目で驚かされるようじゃ探偵としてまだまだだなぁ」
「もう、そういうフィリッポさんはどうなのさ。年齢聞いて驚かないの?」
「俺はちょっとやそっとのことじゃ驚かないさ。ロジェだってそうだよなぁ?」
「そうだな」
「ロジェさんまで酷いなぁ」
彼らは俺の名前ではなく、年齢に反応を示しただけだったのだ。
普通はそうだよな。
名前よりもこんな見た目の子供が実は31歳なんだと言われれば驚くのが普通か。
その様子にホッとして、強張っていた身体の力を僅かに抜いた。
「で?ルイ君は何に悩んでるんだ」
ロジェは真っ直ぐな視線を俺に向け、身体を前のめりにした。
「はい、実は」
俺はそんな彼らを信用し、ここ1ヶ月に起きた出来事を話した。
通勤途中、変な光を浴びて身体が小さくなったこと。
それから職場の社長とともに憲兵のもとへ行ったこと。
マナの違法使用が原因でこの身体になったから犯人を捕まえて欲しいと依頼し、俺の名前を出したら、急に態度が変わったこと。
1ヶ月待ったが、憲兵から1度も連絡が来なかったことも、今後どうするべきか悩んでいたことも全てだ。
その間、彼らは黙って話を真剣に聞いてくれ、俺が話し終わるまで誰ひとりとして口を開くことはなかった。
話し終わった後、始めに口を開いたのはロジェだった。
「ルイ君が見たファイルってのは、憲兵たちが上層部から手渡されているもので、重要人物たちが書かれたファイルだ」
「『重要人物たちが書かれたファイル』?その中に俺の名前が?」
重要人物って俺はただの庶民で、憲兵の人々やその上層部の人々が警戒するような人物ではないはずだ。
なのに何でそんな1庶民がファイルの中に名前を入れられたのだろう。
「あぁ。憲兵の反応からして間違いない」
224
お気に入りに追加
450
あなたにおすすめの小説
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
【完結】欠陥品と呼ばれていた伯爵令息だけど、なぜか年下の公爵様に溺愛される
ゆう
BL
アーデン伯爵家に双子として生まれてきたカインとテイト。
瓜二つの2人だが、テイトはアーデン伯爵家の欠陥品と呼ばれていた。その訳は、テイトには生まれつき右腕がなかったから。
国教で体の障害は前世の行いが悪かった罰だと信じられているため、テイトに対する人々の風当たりは強く、次第にやさぐれていき・・・
もう全てがどうでもいい、そう思って生きていた頃、年下の公爵が現れなぜか溺愛されて・・・?
※設定はふわふわです
※差別的なシーンがあります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる