新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro

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「もし良ければ相談乗るよ」


探偵事務所と聞くと、浮気調査だとか猫探しだとかそういった調査を依頼するときに向かう場所というイメージを抱く。
今回のようなケースを調査依頼するのは違う気がする。
それに以前の憲兵のように名前だけ伝えてやっぱり駄目でした、と言われる方が辛い。
でも、今までのように憲兵からの連絡を待つだけで何の進展もないままで良いのか?
今後、自分で探し出すにしても限度があるのではないか?
ただでさえ、今の俺は小さな子供だ。
大人の俺でなら出来ることもこの身体では出来ることが限られている。
アンリやローカルにもこれ以上、迷惑をかけられないし、他の方法も考えた方が良いのではないか。
僅かな可能性があるなら、頼ってみる価値はあるのではないか?


「………良いのか?」


もし、駄目でも良いじゃないか。
ただただ待ち続ける毎日よりも、戻れる可能性が少しでもあるというのなら。



「うん。さぁ、案内するから着いてきなよ」


相変わらず仮面のせいで顔は見えないけれど、差し出された手は間違いなく若い青年の手だった。

仮面の男について行けば、アンリの店と同じくらいこぢんまりとした事務所があり、中には2人の男性がいた。
ひとりは大きな椅子に腰掛け、片手には書類、もう片方の手にはカップを握っていた。
もうひとりは大きなソファの上に腰掛け、天井を眺めているようだった。


「お二人さん、お客さんだよ」


2人はほぼ同じタイミングでこちらを見て、姿勢を正した。
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