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何故このタイミングでリーシャが私のもとへ来たのか、それが分かったのはこの地にもシャルル陛下のことが書かれたビラが回ってきた日のことだった。
このビラはリーシャが全国を周り聖女としての役目を果たしながら、人脈を広げ仲間を作り、最終的に悪事を公にするといった準備が整ったのがあの日であったのだとフェブリーから直接話を聞いた。
そのフェブリーだが。
数日前から何故か私の店に居着いている。
「いやぁ、シュアがいないと寂しくて」
あはは、と笑いながら言っているが、きっと、あのまま騎士団として残りたくなかったのだろうな、と。
シュアと同じ脱退を記す書面を持ってきた、というのはそういうことだろう。
「俺が居ようと居まいと関係ないと思うが?」
「関係あるぞ!互角、いや、それ以上に戦えるやつがいない!」
「師匠はそんなに強いんだ!」
2人の会話にロン君まで目を輝かせながら乱入し、いつの間にか剣術の訓練にまで話が行っていた。
ロン君としては元とはいえ、騎士団団長と副団長に直接指導して貰えるのはためになるし良いことだと思う。
リリやファミリアのためにも護衛騎士が2人もいて安心だろうし、私としても助かる。
「シャルル陛下も捕まったようですし、少しホッとしましたね」
ファミリアはそう言っているが、本当にこれで安心して良いのかと思ってしまうのは私の悪い癖だろうか。
このビラはリーシャが全国を周り聖女としての役目を果たしながら、人脈を広げ仲間を作り、最終的に悪事を公にするといった準備が整ったのがあの日であったのだとフェブリーから直接話を聞いた。
そのフェブリーだが。
数日前から何故か私の店に居着いている。
「いやぁ、シュアがいないと寂しくて」
あはは、と笑いながら言っているが、きっと、あのまま騎士団として残りたくなかったのだろうな、と。
シュアと同じ脱退を記す書面を持ってきた、というのはそういうことだろう。
「俺が居ようと居まいと関係ないと思うが?」
「関係あるぞ!互角、いや、それ以上に戦えるやつがいない!」
「師匠はそんなに強いんだ!」
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リリやファミリアのためにも護衛騎士が2人もいて安心だろうし、私としても助かる。
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