57 / 71
57
しおりを挟む
誰も私に気付かない。
誰も私の声に気付かない。
誰も正しい情報を調べようともしない。
誰も………誰も、ルナさんのことで悲しみもしない。
「………私、そのとき、ルナさんがどんな風に暮らしていたか、分かったんです。そのときにならなくちゃ分からなかったんです。分かろうともしなかったんです」
本当に、情けないですよね。
そう私が言うとルナさんは首を左右に振っていた。
「だから、この世界に来てあの世界と同じことが起きているのを知ったとき思ったんです。2度と同じ過ちは繰り返さないって。そして、ルナさんに会ったら絶対に謝ろうって」
謝って、今度はルナさんが幸せになる世界にしようってそう思ったんです。
その一歩として私が行ったのは、父であるシャルル陛下の悪事を暴き、国民に知れ渡らせることだった。
国民だけでは揉み消される可能性があるから、他の国の長へも届けたし、私が任務で向かいお世話になった人たちへも届けた。
あとは反乱をお越し、陛下という地位から引き摺り下ろし、正式に法の場で裁いていただこうと思っています、なんてこんなことを私が考えているなんてルナさんは思っていないでしょうね。
「あの、その『ルナ』は私ではない…ですよね?だから、この世界の私に謝る必要は」
「いえ、あります。あるのです」
誰も私の声に気付かない。
誰も正しい情報を調べようともしない。
誰も………誰も、ルナさんのことで悲しみもしない。
「………私、そのとき、ルナさんがどんな風に暮らしていたか、分かったんです。そのときにならなくちゃ分からなかったんです。分かろうともしなかったんです」
本当に、情けないですよね。
そう私が言うとルナさんは首を左右に振っていた。
「だから、この世界に来てあの世界と同じことが起きているのを知ったとき思ったんです。2度と同じ過ちは繰り返さないって。そして、ルナさんに会ったら絶対に謝ろうって」
謝って、今度はルナさんが幸せになる世界にしようってそう思ったんです。
その一歩として私が行ったのは、父であるシャルル陛下の悪事を暴き、国民に知れ渡らせることだった。
国民だけでは揉み消される可能性があるから、他の国の長へも届けたし、私が任務で向かいお世話になった人たちへも届けた。
あとは反乱をお越し、陛下という地位から引き摺り下ろし、正式に法の場で裁いていただこうと思っています、なんてこんなことを私が考えているなんてルナさんは思っていないでしょうね。
「あの、その『ルナ』は私ではない…ですよね?だから、この世界の私に謝る必要は」
「いえ、あります。あるのです」
58
お気に入りに追加
307
あなたにおすすめの小説
今夜で忘れる。
豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」
そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。
黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。
今はお互いに別の方と婚約しています。
「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」
なろう様でも公開中です。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
貴方の運命になれなくて
豆狸
恋愛
運命の相手を見つめ続ける王太子ヨアニスの姿に、彼の婚約者であるスクリヴァ公爵令嬢リディアは身を引くことを決めた。
ところが婚約を解消した後で、ヨアニスの運命の相手プセマが毒に倒れ──
「……君がそんなに私を愛していたとは知らなかったよ」
「え?」
「プセマは毒で死んだよ。ああ、驚いたような顔をしなくてもいい。君は知っていたんだろう? プセマに毒を飲ませたのは君なんだから!」
妹は病弱アピールで全てを奪い去っていく
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢マチルダには妹がいる。
妹のビヨネッタは幼い頃に病気で何度か生死の境を彷徨った事実がある。
そのために両親は過保護になりビヨネッタばかり可愛がった。
それは成長した今も変わらない。
今はもう健康なくせに病弱アピールで周囲を思い通り操るビヨネッタ。
その魔の手はマチルダに求婚したレオポルドにまで伸びていく。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる