25 / 76
25
しおりを挟む
「取引をしないのであれば、そなたがこの国に滞在し治療の必要な者たちを治すしかあるまいな」
そうくるか。
どうしても薬を己の手に入れ、利益を得たいようだが。
「お断りいたします。私がこの地でそのようなことをするつもりはございません」
昔ならフレイヤの側にいられるかもしれないと喜んで許可したかもしれないが、そうはいかない。
命がかかっているのだ。
おいそれと了承するわけにはいかない。
それに今日逃げずにここに来たのはしっかりと意思を伝えるためだ。
私は貴殿方に使われるつもりはない、と。
「ふむ、他国とはいえど皇帝の言葉にそう返すか」
「はい。何を言われようと私は頷きません」
「こやつらを捕らえると言ってもか?」
こやつら、と言って見せてきた人物絵にはロンとリリが描かれていた。
どこまでも卑怯な男だ。
「………彼らを人質になさるつもりですか」
「そのつもりだと言ったら?」
ここで頷かなければロンとリリはシャルル陛下の部下たちに捕らえられ、良いように使われるのがオチだ。
リリの場合、何処かで前皇帝陛下の娘だとバレるだろうしそうなったら命を失う危険性がある。
そんなこと絶対にさせない。
「彼らに触れた瞬間、貴殿方を絶対に許しませんし協力など一切いたしません」
そうくるか。
どうしても薬を己の手に入れ、利益を得たいようだが。
「お断りいたします。私がこの地でそのようなことをするつもりはございません」
昔ならフレイヤの側にいられるかもしれないと喜んで許可したかもしれないが、そうはいかない。
命がかかっているのだ。
おいそれと了承するわけにはいかない。
それに今日逃げずにここに来たのはしっかりと意思を伝えるためだ。
私は貴殿方に使われるつもりはない、と。
「ふむ、他国とはいえど皇帝の言葉にそう返すか」
「はい。何を言われようと私は頷きません」
「こやつらを捕らえると言ってもか?」
こやつら、と言って見せてきた人物絵にはロンとリリが描かれていた。
どこまでも卑怯な男だ。
「………彼らを人質になさるつもりですか」
「そのつもりだと言ったら?」
ここで頷かなければロンとリリはシャルル陛下の部下たちに捕らえられ、良いように使われるのがオチだ。
リリの場合、何処かで前皇帝陛下の娘だとバレるだろうしそうなったら命を失う危険性がある。
そんなこと絶対にさせない。
「彼らに触れた瞬間、貴殿方を絶対に許しませんし協力など一切いたしません」
610
お気に入りに追加
928
あなたにおすすめの小説

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

二度目の恋
豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。
王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。
満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。
※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。


真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる