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「リーシャから聞いたんだが、体調不良者を一気に回復させる薬を作っているそうだな」
「一気にとはいきませんが、回復薬は作成しています。効果は確かですがその分、危険性を伴う品なので販売や取引などは一切しておりませんし、今後もするつもりはございません」
私がそう言えば、シャルル殿下の眉間に皺が寄った。
どうせその薬をよこせ、とか取引させろ、とか言い出すつもりだったのだろうがそうはさせない。
シャルル殿下は何もかもを手にしたかもしれないが、何もかもを奪われているんだ。
これ以上、奪われてなるものか。
「ほう………」
「この国にはリーシャ様という聖女様がいらっしゃいます。あのような危険な薬など不要かと」
だから、さっさと諦めて私を帰せと言いたいがこの男がすんなり帰してくれるはずもない。
「確かにリーシャもいるが、あやつはいつもこの地にいるわけではない。あの能力を欲しているのは我が国だけではなくてな、各国から声がかかってきている。代わりを立てるにもあやつの代わりは何処にもいない状況だ。それをフォロー出来るのが、その薬だと私は思っていてな」
「リーシャ様の代わりになどあの薬はなりませんよ。あれは内服してから時間がかかります。薬ですから副作用だってありますし、拒否反応だって起こすリスクが十分にあります。それに比べリーシャ様のお力はそれらが全てなく万能です」
綺麗事を並べているが、シャルルはどうせ薬で出た利益を全て自分のものにしたいというところだろう。
今だってリーシャが得た利益を全て自分の物にしているというのに、今も昔も変わらない男だ。
「一気にとはいきませんが、回復薬は作成しています。効果は確かですがその分、危険性を伴う品なので販売や取引などは一切しておりませんし、今後もするつもりはございません」
私がそう言えば、シャルル殿下の眉間に皺が寄った。
どうせその薬をよこせ、とか取引させろ、とか言い出すつもりだったのだろうがそうはさせない。
シャルル殿下は何もかもを手にしたかもしれないが、何もかもを奪われているんだ。
これ以上、奪われてなるものか。
「ほう………」
「この国にはリーシャ様という聖女様がいらっしゃいます。あのような危険な薬など不要かと」
だから、さっさと諦めて私を帰せと言いたいがこの男がすんなり帰してくれるはずもない。
「確かにリーシャもいるが、あやつはいつもこの地にいるわけではない。あの能力を欲しているのは我が国だけではなくてな、各国から声がかかってきている。代わりを立てるにもあやつの代わりは何処にもいない状況だ。それをフォロー出来るのが、その薬だと私は思っていてな」
「リーシャ様の代わりになどあの薬はなりませんよ。あれは内服してから時間がかかります。薬ですから副作用だってありますし、拒否反応だって起こすリスクが十分にあります。それに比べリーシャ様のお力はそれらが全てなく万能です」
綺麗事を並べているが、シャルルはどうせ薬で出た利益を全て自分のものにしたいというところだろう。
今だってリーシャが得た利益を全て自分の物にしているというのに、今も昔も変わらない男だ。
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