絶対に間違えないから

mahiro

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「どうなさいました?顔色が優れないようですが」


そう言って私に降れようとするリーシャから条件反射のように距離を取ってしまった。
昔は手を叩いていたから、それに比べたら可愛いものかもしれないが、聖女である彼女の手から離れる人って私くらいかもしれないな。


「………すみません、体調が優れませんで」


「それは大変です!あのときのお礼として、よろしければ私に治させていただけませんか?」


「いえ、リーシャ様の手を煩わせるわけにはいけませんので」


治療やお礼はいらないから早く店から出ていって欲しい。
フレイヤと仲睦まじい姿を今回も見たいとは思わないし、あの剣を見たらあのときの恐怖を思い出してしまったのか、全身が震え出してしまった。


「お礼は本当に結構です。わざわざお越しいただいたのに申し訳ございませんが、体調も優れないので下がらせていただいてもよろしいでしょうか」


「で、ですが」


「………リーシャ様、ルナ殿も体調が優れないようですし、後日改めてというのはいかがでしょうか」


流石に私の様子を見たフレイヤがリーシャにそう言えば、がっかりした表現で頷いて見せた。


「そうね。体調が悪い中、いきなり訪問した私が悪かったものね。すみませんね、ルナさん。また後日改めさせていただきますわ」


「いえ、感謝のお言葉だけで十分でございます」


と私は言ったのだが、後日本当に2人が店を訪れたのは言うまでもない。
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