絶対に間違えないから

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どんな怪我や病でもその聖女様の力で治せる、そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
きっと、この世界にも彼女は存在していて、今も皇女として、そして、聖女として誰かを助けているのだろうーーー護衛騎士である彼を連れて。


「………あります。こちらで治療しますので、そこにあるソファに寝かせていただけますか」


とにかく今は目の前で苦しんでいる人を私なりに助けよう。
私は彼女と違って聖なる力があるわけでも回復に特化した力があるわけじゃない。
だけど、無力なわけでもない。
私には彼女と違って魔法を使った優れた薬を作ることが出来るのだ。


「え、治療ですか？！ありがとうございます！失礼します！」


男性がソファに仲間だという人を寝かせている間に部屋の奥から薬を手にし、その人に近付いた。
今まで1度も関わったことのない人物だったことにホッとしつつ、万能薬をその男性の口元に垂らした。
これは副作用のない薬で数滴でも体内に入れば症状が改善する優れものだ。


「これでもう大丈夫です。暫くすれば呼吸も落ち着きますよ」


「本当ですか、ありがとうございます！」


段々と顔色に赤みが戻り始めたのを確認して、薬を店の奥へと戻した。
実はこの薬、店内に並べておらず私の手元でのみ保管しているものだったりする。
あまり売れ過ぎると皇族や貴族たちも欲しがり、いつか彼らにまで情報が届いてしまうリスクがあるからだ。