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収穫祭当日の朝、店にはロンがリリを迎えに来ていた。
ロンはこの町に住む男の子で以前は全く関わりのない子だった。
天然パーマを隠すためにいつも帽子を被っており、エメラルド色の大きな瞳が特徴の可愛らしい男の子で、リリと並ぶとお似合いだと私は思っている。
こんなことなら前回もこの土地に逃げてくれば良かった...…。
「こんにちは、ルナお兄ちゃん!」
人懐っこく笑うロンにつられるようにして私も笑った。
「こんにちは。今日はリリのこと頼んだよ」
「任せて!これでも僕、騎士団見習いだから!」
自分の胸を叩いて、自信満々に言うその姿に可愛いなぁと思いながら頬杖をついた。
ロンのいう『騎士団見習い』とは、将来騎士団に入りたいと望む平民向けに立ち上げたもので、貴族のようにある課程を終えて騎士団に入るものとはまた種類が異なるが、将来的に能力が認められれば貴族同様、身分関係なく正式に騎士団へ入団することが出来る。
「頼りにしているよ」
きっと、辛い道のりになるだろうが、リリの存在もあるから大丈夫だろう。
それにもしこの2人がお付き合いを始めたとして、結婚するとなったとき、ロンが私たちの本当の姿を知ったとき、自分の身もリリの身も守れる存在でなければならない。
いつどんな刺客が現れるか分からないのだから、己のためにもリリのためにも力は身に付けていた方が良いだろう。
ロンはこの町に住む男の子で以前は全く関わりのない子だった。
天然パーマを隠すためにいつも帽子を被っており、エメラルド色の大きな瞳が特徴の可愛らしい男の子で、リリと並ぶとお似合いだと私は思っている。
こんなことなら前回もこの土地に逃げてくれば良かった...…。
「こんにちは、ルナお兄ちゃん!」
人懐っこく笑うロンにつられるようにして私も笑った。
「こんにちは。今日はリリのこと頼んだよ」
「任せて!これでも僕、騎士団見習いだから!」
自分の胸を叩いて、自信満々に言うその姿に可愛いなぁと思いながら頬杖をついた。
ロンのいう『騎士団見習い』とは、将来騎士団に入りたいと望む平民向けに立ち上げたもので、貴族のようにある課程を終えて騎士団に入るものとはまた種類が異なるが、将来的に能力が認められれば貴族同様、身分関係なく正式に騎士団へ入団することが出来る。
「頼りにしているよ」
きっと、辛い道のりになるだろうが、リリの存在もあるから大丈夫だろう。
それにもしこの2人がお付き合いを始めたとして、結婚するとなったとき、ロンが私たちの本当の姿を知ったとき、自分の身もリリの身も守れる存在でなければならない。
いつどんな刺客が現れるか分からないのだから、己のためにもリリのためにも力は身に付けていた方が良いだろう。
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