カランコエの咲く所で

mahiro

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時間にして10分もしないで戻ってきた。
あの後、研究所の中を勝手に見て回りスタッフらしき人に見付からずに帰ってきたわけだが、ゲルハルトは欲しかった情報を得られたようだが俺はあのおじさんのことも研究所のことも、彼等のことも、目的も何一つ分からなかった。
分かったのは、ゲルハルトがいかに優秀な人物で能力値が異常な程に高いか、ということだけだろうか。


「なぁ、ジョゼ。俺が行く必要あったか?」


村長に報告に向かったゲルハルトを見送り、家に残されたジョゼに話しかければ、ジョゼは尻尾を大きく揺らしながら口を開けた。


「あったよ?」


「ないだろ。だって、俺何もしてないぞ」


まぁ、だからって出来ることもないけれど。
どうせ行くなら役に立つことをしたかったのに。


「ご主人は『イヴが側にいてくれる』、それだけで満足する人だからそれ以上は望まないと思うよ」


「側にいるだけ?」


今までゲルハルトの側に誰もいなかったのだろうか。
だから、誰かが側にいることが嬉しいとかそんなことだろうか。


「うん。これからもご主人の側にいてね」
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