カランコエの咲く所で

mahiro

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女の子じゃないんだから、守らなくても大丈夫だと言えたらどれだけ良いか。
事実、村にいる女の子たちよりも無力なのは確かでゲルハルトに守って貰わないと生き抜ける自信が今はない。
能力が開花すればもしかしたら自分の身くらい守れるようになるかもしれないが、それがいつ来るのかさっぱり分からないし、そもそも来るのかさえ分からない。
下手したら目覚めないまま一生を終える可能性だってあるわけだ。
そんなの、悔しい。
折角転生したのに、何のために転生したんだよ。


「………っ」


両手を握り締め俯いた俺を一瞥したゲルハルトは、特に気に留めず言葉を続けた。


「そうそう、奴らの目的はいくつかあるみたいでね、アバウトなものしか彼らは知らなくて、目的の他に研究所の場所と指示した人物の特定くらいしか分からなかったんだよね。あ、その目的の中のひとつがイヴに接触することね」


「………こんな無力な子供に接触して何の意味があるんだよ」


「イヴが思っている以上に意味があるんだよ。例えば、イヴ・ノランそっくりな人物は一体何者なのか探るため、とかね」


「昔の俺ってそんな有名人じゃないから、探るも何も俺のこと知らないだろ」


「有名だったよ?イヴが知らないだけで」


「悪い評価でだろ、どうせ」


「んー、それは否定できないかな」


「否定しなくていい。あと考えられるのはヨーゼフ本人の居場所を知るため、とかか?」


英雄の子供に成りきっていたわけだし。
残念ながら俺は本人か偽物なのか判断できないくらいの情報しかなかったわけで、何の情報も得られなかっただろうに。
ある意味それは彼らに情報を与えずに済んで良かったのかもしれない。


「それもあったみたい。あと俺たちの使っている能力を知るためにこの村に来たみたいだけど、彼らの使っていた能力と俺たちの使っている能力は全く別物であったということくらいしか分からなかったみたい。でも何か彼等の目的って他にもあるような気がするんだよね」
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