カランコエの咲く所で

mahiro

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「ちょ、ちょっと待ってください。先輩」  


「なぁに?」


「先輩の口ぶりからすると、ここの誰かがやったように聞こえるのですが」


「え?違うの?」


ゲルハルトの驚いた様子に俺も他の二人も驚きが隠せない。
だって、昨晩三人はずっと一緒にいて不審な動きを見せたものはいなかった。
怪しいと言うのであれば途中から姿を消したゲルハルトの方が十分怪しく感じる。
デートって言っていたのに何故かマントが汚れているし。


「違いますよ!私たちではない、誰かがやったのではと考えていたんです」


「ふーん。なら、まずお互いを疑いなよ。身内が信用できるべきか確認してから第三者を疑うべきじゃないかな?」


口角を弛ませて言ったゲルハルトに、昔のゲルハルトを思い出させた。
昔のゲルハルトは、あまり他人を信じず誰かを頼るだとか仲間を得たりしなかった。
何故かというと、信じられないから。
自分の力は信頼出来るけれど、他人は信用出来ないと口癖のように言っていた。


「しかし!」


「はいはい、小さい子たちの前で言い争うのも良くないから進めるよ」


パンパンっと手を叩き、ゲルハルトは何故か俺の隣に立って右肩の上に手を置き引き寄せた。
いきなり何をするのだと睨み付けると、何故か笑われた。


「俺は今からイヴ君と彼らに過去を見せて貰おうと思う。エクベルトはヨーゼフに見せてね。本当は、俺から二人にも情報を共有させても良いんだけど、そうすると俺が皆に都合の良い幻覚を見せているって言われそうだしね。それはエクベルトも同様で、エクベルトが全員に情報を見せた所で都合の良い幻覚を見せたと取られても可笑しくない。なら、俺たちが別々に情報をヨーゼフやイヴ君に見せてその情報が同じであれば、それは正確な情報になるよね」


「イヴ君やヨーゼフが嘘をついたらどうするのですか」


「そうだね…それはないと思うけど、ヨーゼフは嘘をついたらエクベルトが分かるでしょ。見せた本人なんだから。イヴ君も嘘をついたら俺が分かるから問題ないね」
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