カランコエの咲く所で

mahiro

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どれだけ経過しただろう。
あっという間ではないが、瓦礫の山が立派な建物になり、残りがあと僅かな段階まで来ていた。


「今日はこれくらいにしておこうか。今のままなら明日にでも終わりそうだね」


エクベルトの声掛けと同時に手を止めたヨーゼフは、力が抜けたかのようにズルズルとその場にしゃがみこんだ。


「疲れた………」


「お疲れ様」


その側に立ったエクベルトは、先生そっくりな金髪のそれに手を置き優しく撫でていた。
エクベルトはゲルハルトと違って優しい良い先生のようだ。
ヨーゼフも嫌がらずにされるがままである。


「今日はこのまま休んで、明日また頑張ろう」


「はい、頑張ります」


俺の前ではこんな風に甘えるような素振りは見せないから、エクベルトの存在は有り難いなと二人のやり取りを見ていたら、急に振り返ったエクベルトが顔を真っ青にしてこちらを見てきた。


「あれ、先輩がいない……」


「ゲルハルトなら、デートに行くってどっかに行ったけど」


「あぁ………」


俺が素直に答えれば、エクベルトは顔を手で覆って項垂れた。


「最近行けてなかったもんな……」


「デートに?」


「まぁ……ある意味そうかな」


濁しながら答えるエクベルトの様子からして、訳ありなのは察せた。
だが、ヨーゼフは俺と同じ様に分かっていないようで不思議そうな表情でエクベルトを見ていた。


「ある意味ってどういう意味ですか?」


「んーこれは私からは言えないかな。知りたいなら先輩に直接教えて貰った方が良いと思う。素直に教えてくれるか分からないけど」


絶対に俺には素直に教えてくれなそうだ。
子供だからという理由とゲルハルトにとって信頼できる相手に俺は含まれていないから。
昔も今も。
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