カランコエの咲く所で

13

ヨーゼフは勿論のこと、ゲルハルトの足手まといになるのは今更ながら嫌だと思った。
何が悲しくてエリートの手を借りなくてはいけないのだろうか。
あのときのように魔物が襲ってくるわけではないのだから、自分の身くらい守ってみせる。


「さて、イヴ君が来てくれたお陰でリセットされたみたいだし、もうちょっと頑張ってみようか？」


「はい、エクベルト先生」


表情が幾分明るくなったヨーゼフは、エクベルトと共にまた瓦礫の山へと向かって歩き出した。
山の頂点にたどり着き、深呼吸を繰り返したヨーゼフは足元に向かってステッキを振り回した。

次の瞬間、辺りが淡く光だし瓦礫の一部分が宙に浮いた。
そしてそれらが宙に浮き、何やら形を作り始めた。


「おぉ、いい感じじゃん」


俺の隣で地面に座りながら見ていたゲルハルトは、感心したようにそう言って立ち上がった。


「徐々に放出出来るようになってるみたいだし、このままいけば期限内に終わるかも。流石、イヴ君効果」


「俺は何もしてない」


俺をここに連れて来ようとゲルハルトがしなければ、ヨーゼフはいつまでも躓いたままだったし、ヨーゼフが自身のコントロールをつけられなければ、解決されるものではなかった。
そこに少しだけ俺が関わっただけで、重要性はなかったように思える。


「そんなことないよ。イヴ君が来たからこんなにスムーズに進んだわけなんだし。さぁ、こっちは何とかなりそうだし、俺はデートに行ってくるから後は頼んだよ」


「は？」


何を言い出すんだこいつは、と横を振り向けばそこには誰も居なかった。