12 / 112
12
しおりを挟む
「関係性は分かりました。オレのためにゲルハルト先生がイヴを連れてきてくれたのは嬉しいですし、正直顔を見れただけでも気分が晴れたのは事実です。お陰でもう少しやれそうです。ですが、見ての通りここの村は瓦礫ばかりで危険です。もしイヴが怪我でもしたらどうするのですか」
「ヨーゼフは本当にイヴ君のことが大切なんだね。大丈夫だよ。もしイヴ君が怪我したら連れてきた先輩が責任を持って治してくれるから」
エクベルトが晴れやかにそう答えれば、ゲルハルトは整った眉を潜めた。
「ええ?俺なの?」
俺はヨーゼフの後ろで、折角能力開花の鍵を掴めたかもしれないと、舞い上がりつつあったのに、ヨーゼフの言葉にここでも俺は足手まといなのかと落ち込んだ。
でも、もしここで開花すれば足手まといではなくなるかもしれない。
「ヨーゼフ、俺なら大丈夫だから」
目の前にいるヨーゼフのコートの袖を掴み、そう言えば、掴んでいた手を握り締められた。
そして、俺の目線に合わせるようにしゃがみこみ笑った。
「エクベルト先生の言うように、イヴに何かあってもゲルハルト先生が治してくれるから大丈夫。困ったことがあったらオレや先生に何でも言うんだよ。絶対に一人で抱え込んではいけないよ」
どうやら、俺の『大丈夫』が強がりに聞こえたようだ。
確かに今の能力値的に考えれば強がりになるが、万が一うまく行けば強がりではなくなる。
ヨーゼフの制限解除と同時進行で俺の開花も進められれば最高なのだが、そうもいかないか。
一先ず今の段階では、ヨーゼフのことを優先しないとな。
「ヨーゼフこそ、無理はしちゃダメ。折角仲間が側にいるのだからもっと頼って」
握り締められた手を握り返してそう言えば、ヨーゼフは嬉しそうに微笑んだ。
「そうだね。ひとりで何とかしようと思うからダメなんだよね。ありがとう、イヴ」
「ヨーゼフは本当にイヴ君のことが大切なんだね。大丈夫だよ。もしイヴ君が怪我したら連れてきた先輩が責任を持って治してくれるから」
エクベルトが晴れやかにそう答えれば、ゲルハルトは整った眉を潜めた。
「ええ?俺なの?」
俺はヨーゼフの後ろで、折角能力開花の鍵を掴めたかもしれないと、舞い上がりつつあったのに、ヨーゼフの言葉にここでも俺は足手まといなのかと落ち込んだ。
でも、もしここで開花すれば足手まといではなくなるかもしれない。
「ヨーゼフ、俺なら大丈夫だから」
目の前にいるヨーゼフのコートの袖を掴み、そう言えば、掴んでいた手を握り締められた。
そして、俺の目線に合わせるようにしゃがみこみ笑った。
「エクベルト先生の言うように、イヴに何かあってもゲルハルト先生が治してくれるから大丈夫。困ったことがあったらオレや先生に何でも言うんだよ。絶対に一人で抱え込んではいけないよ」
どうやら、俺の『大丈夫』が強がりに聞こえたようだ。
確かに今の能力値的に考えれば強がりになるが、万が一うまく行けば強がりではなくなる。
ヨーゼフの制限解除と同時進行で俺の開花も進められれば最高なのだが、そうもいかないか。
一先ず今の段階では、ヨーゼフのことを優先しないとな。
「ヨーゼフこそ、無理はしちゃダメ。折角仲間が側にいるのだからもっと頼って」
握り締められた手を握り返してそう言えば、ヨーゼフは嬉しそうに微笑んだ。
「そうだね。ひとりで何とかしようと思うからダメなんだよね。ありがとう、イヴ」
71
お気に入りに追加
153
あなたにおすすめの小説

続・聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
『聖女の兄で、すみません!』(完結)の続編になります。
あらすじ
異世界に再び召喚され、一ヶ月経った主人公の古河大矢(こがだいや)。妹の桃花が聖女になりアリッシュは魔物のいない平和な国になったが、新たな問題が発生していた。


【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる