カランコエの咲く所で

mahiro

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「そうと決まればすぐに行くよ」


ゲルハルトは術の唱えやステッキを振り回しもせず、俺の手首を掴んだだけで目的地に飛んだ。
こんな高度な術、本で見たことはあったけれど実際に経験したのは初めてだった。


「はーい、到着。この辺りにヨーゼフとエクベルトがいる筈なんだけど」


何処だろうと周りを見渡すゲルハルトを見上げながら、改めて俺とゲルハルトの差を感じ悔しいのと、いつかヨーゼフもこんな風になるのかと思うと喜ばしい気持ちと俺では守ることが出来ないのだと複雑な気持ちになった。


「あ、いたいた」   


ゲルハルトの声に弾かれたようにヨーゼフとエクベルトと呼ばれた人の方へと視線を向ければ、大きな瓦礫の山の上に二人は向かい合うようにしていた。
エクベルトが、ゲルハルトの声に気付き振り返った。
ゲルハルトとは違って紺色のマントを被っていて、ゲルハルトと同じくらいの背丈に見える。
目元はフードで見えないが、高い鼻、血色の良い分厚い唇がへの字を描いているのは見えた。


「先輩!何処に行っていたんですか!」


ゲルハルトよりも低い声が不機嫌さを乗せて聞こえてきた。
先輩ということは、ゲルハルトより下の立場なのか、年下なのか、それとも年上だけどゲルハルトの方が先輩なのかどれなのだろうか。


「ちょっと良い案思い付いてさ。連れてきちゃった」


語尾にハートでも付きそうな勢いでゲルハルトが俺の肩に手を置いて笑えば、こちらに顔を向けたヨーゼフとエクベルトが動揺したような声を上げた。


「「イヴ(君)?!」」
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