6 / 112
6
しおりを挟む
落ち着きのある低過ぎず高過ぎもしない声は、今まで一度も聞いたことないものだった。
俺の記憶にあるゲルハルトの声は、まだ声変わりもしていない子供のものだけだけれど、俺が生まれ変わってからもう十年の月日が経ったとすると、ゲルハルトは今十八才なわけだから声も顔も背丈も記憶にあるものから変わっていて当然だ。
「………そうだけど、誰?」
警戒するようにそう訊ねて見れば、口角を綺麗に上げて名乗った。
「ゲルハルト・シェン。特級の魔法使いだよ」
「特級………」
記憶にあった人物で当たったことよりも、特級という位に驚きが隠せない。
どれだけ若くても二十歳以上でないと特級にはなれないと言われていたのに、それをまた覆したのか。
ホントにエリートはどこまでもエリートのままということを嫌なほど実感させられる。
「そ、特級。ちょっと時間がないから自己紹介はここまでにして、用件を伝えさせて貰うよ」
戸惑いを隠せない俺を放って一歩一歩近付いてくるゲルハルトに、俺はそれに合わせるように後退するも足のコンパスが異なるせいであっという間に、俺の目の前にゲルハルトが立った。
近付いたことにより、フードの下にあるシェン一族特有の白髪と黒い瞳がはっきりと見えた。
「今、ヨーゼフの能力に制限がかかっていてうまいこと任務が進まないんだ。それを解除するためにイヴ君にも協力して貰いたくて来たんだ」
俺の記憶にあるゲルハルトの声は、まだ声変わりもしていない子供のものだけだけれど、俺が生まれ変わってからもう十年の月日が経ったとすると、ゲルハルトは今十八才なわけだから声も顔も背丈も記憶にあるものから変わっていて当然だ。
「………そうだけど、誰?」
警戒するようにそう訊ねて見れば、口角を綺麗に上げて名乗った。
「ゲルハルト・シェン。特級の魔法使いだよ」
「特級………」
記憶にあった人物で当たったことよりも、特級という位に驚きが隠せない。
どれだけ若くても二十歳以上でないと特級にはなれないと言われていたのに、それをまた覆したのか。
ホントにエリートはどこまでもエリートのままということを嫌なほど実感させられる。
「そ、特級。ちょっと時間がないから自己紹介はここまでにして、用件を伝えさせて貰うよ」
戸惑いを隠せない俺を放って一歩一歩近付いてくるゲルハルトに、俺はそれに合わせるように後退するも足のコンパスが異なるせいであっという間に、俺の目の前にゲルハルトが立った。
近付いたことにより、フードの下にあるシェン一族特有の白髪と黒い瞳がはっきりと見えた。
「今、ヨーゼフの能力に制限がかかっていてうまいこと任務が進まないんだ。それを解除するためにイヴ君にも協力して貰いたくて来たんだ」
18
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
音楽の神と呼ばれた俺。なんか殺されて気づいたら転生してたんだけど⁉(完)
柿の妖精
BL
俺、牧原甲はもうすぐ二年生になる予定の大学一年生。牧原家は代々超音楽家系で、小さいころからずっと音楽をさせられ、今まで音楽の道を進んできた。そのおかげで楽器でも歌でも音楽に関することは何でもできるようになり、まわりからは、音楽の神と呼ばれていた。そんなある日、大学の友達からバンドのスケットを頼まれてライブハウスへとつながる階段を下りていたら後ろから背中を思いっきり押されて死んでしまった。そして気づいたら代々超芸術家系のメローディア公爵家のリトモに転生していた!?まぁ音楽が出来るなら別にいっか!
そんな音楽の神リトモと呪いにかけられた第二王子クオレの恋のお話。
完全処女作です。温かく見守っていただけると嬉しいです。<(_ _)>
前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか
Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。
無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して――
最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。
死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。
生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。
※軽い性的表現あり
短編から長編に変更しています
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください
【第1部完結】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【11/28第1部完結・12/8幕間完結】(第2部開始は年明け後の予定です)ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる