カランコエの咲く所で

mahiro

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「良かったじゃん」


嬉しさ半分、悔しさ半分というのが正直な気持ちだった。
平均よりもかなり遅い能力の開花だけど、着実に夢への第一歩に繋がったわけなのたから喜ぶべきものだ。
しかし、本来守らなくてはならない存在であったヨーゼフが、生まれ変わってからずっと、守られる立場になってしまい、能力の目覚めが更に輪をかけるような気がしてならない。


「ありがとう、これで父ちゃんに近付けたしアカデミー卒業出るよ!」


喜びを表すかのように強く抱き締められ、自分の身体がまだ小さいのだと思わせた。


「おめでとう、ヨーゼフ」


あんな産まれたばかりだった赤子が、こんなにも大きくなったのに、俺は生まれ変わっても見た目も名前も大して変わらず非力なただの子供のままだ。

早く強くなりたい、強くなって今度こそヨーゼフを守りたいのに、俺の能力はヨーゼフがアカデミーを卒業しても開花することはなかった。


魔法使いの下級になったヨーゼフは、何かと忙しく家を空けることが増えてきた。
その間、俺は時間を忘れるようにして能力を目覚めさせる特訓を行っていた。
いつまで経っても兆候など現れる筈もなく、過去と全く同じことの繰り返しだ。
その間にもヨーゼフは前へ前へと進んでいるのに。


「悔しい………」
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