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魔法使いを目指すヨーゼフは、三歳の頃からアカデミーに通っていた。
アカデミーを卒業すると、下級と呼ばれる位になることが出来る。
その後、技能テストと筆記テストを無事合格すると中級となる。
上級、特級という位もあるが、そこまで登り詰められる人たちは極稀で実際特級は十人しか存在しないとか。
因みにヨーゼフの夢を叶えるには、特級にならなくてはならない。
先生は大変優秀な成績を収め、村の中央にあった城専従の魔法使いにまでなった人だった。
十歳となった今も能力の目覚めがないヨーゼフに、その位を目指すのは現実的ではないのだろうと何度も思ったが口にはせず、日々特訓を重ねるヨーゼフの姿を見つめていた。
俺も生まれ変わる前は今のヨーゼフのように必死に練習を重ねていた。
次から次へと優秀な子供たちが生まれ、その子供は俺よりも先に能力に目覚め、アカデミーへ通いあっという間に下級へと順当に進んでいく。
そんな姿を盗み見ながら、いつまでも何も発しないステッキを振り回して一日が終わっていた。
折角生まれ変わったのに、いつまで経っても目覚めは訪れずヨーゼフを側で見守るしか出来ない自分に嫌気がさした。
もしまた何かが起きてしまった場合、俺はまたヨーゼフを最期まで守ることが出来ない。
そんなのは御免なのに、気持ちが焦るだけで能力が使えるようにはならなかった。
そんなある日のこと、バタバタと大きな音を立てながらヨーゼフは家に帰ってきた。
俺はヨーゼフとともにアカデミーに通っていたが、その日は先に帰っていたので、何が起きたのかと首を傾けていると満面の笑みを浮かべたヨーゼフは俺を見つけるなり声を弾ませて言った。
「イヴ、聞いて!能力が使えるようになったよ!」
アカデミーを卒業すると、下級と呼ばれる位になることが出来る。
その後、技能テストと筆記テストを無事合格すると中級となる。
上級、特級という位もあるが、そこまで登り詰められる人たちは極稀で実際特級は十人しか存在しないとか。
因みにヨーゼフの夢を叶えるには、特級にならなくてはならない。
先生は大変優秀な成績を収め、村の中央にあった城専従の魔法使いにまでなった人だった。
十歳となった今も能力の目覚めがないヨーゼフに、その位を目指すのは現実的ではないのだろうと何度も思ったが口にはせず、日々特訓を重ねるヨーゼフの姿を見つめていた。
俺も生まれ変わる前は今のヨーゼフのように必死に練習を重ねていた。
次から次へと優秀な子供たちが生まれ、その子供は俺よりも先に能力に目覚め、アカデミーへ通いあっという間に下級へと順当に進んでいく。
そんな姿を盗み見ながら、いつまでも何も発しないステッキを振り回して一日が終わっていた。
折角生まれ変わったのに、いつまで経っても目覚めは訪れずヨーゼフを側で見守るしか出来ない自分に嫌気がさした。
もしまた何かが起きてしまった場合、俺はまたヨーゼフを最期まで守ることが出来ない。
そんなのは御免なのに、気持ちが焦るだけで能力が使えるようにはならなかった。
そんなある日のこと、バタバタと大きな音を立てながらヨーゼフは家に帰ってきた。
俺はヨーゼフとともにアカデミーに通っていたが、その日は先に帰っていたので、何が起きたのかと首を傾けていると満面の笑みを浮かべたヨーゼフは俺を見つけるなり声を弾ませて言った。
「イヴ、聞いて!能力が使えるようになったよ!」
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