カランコエの咲く所で

mahiro

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「オレね、父ちゃんみたいな立派な魔法使いになって父ちゃんと母ちゃんが守ったこの国を守りたいの」


ヨーゼフに拾われ、五年が経過した。
あの後村長にヨーゼフとともに暮らす許可を得て、元々ヨーゼフの暮らしていた家にともに過ごすことになった。
俺とヨーゼフの世話は姿を見せない魔法使いにして貰っていたので、問題はなかった。
おそらく俺が居なかった五年間、こんな風にヨーゼフはひとりで暮らしていたのだろう。
魔法使いも姿を現せば良いのに、何故か一度も姿を現したことはなかった。
きっと何かしらの理由はあるのだろうけども、俺には残念ながらその理由は分からなかった。


あるとき、いつものようにヨーゼフと手を繋ぎながらお墓参りに行った際、墓前でいつになく真剣な表情でヨーゼフはそう言った。

十年前、突然城を襲ってきた魔物を退治や封印をするため、魔法使いだった先生と女神と言われていたティファニーは大事な息子を俺に託し、国を守るために奮闘し、無事封印することが出来た。
だが、力を使いきった二人はその場で亡くなり、城も崩壊してしまったのだとか。
それを誰から聞いたのか忘れてしまったけれど、俺は大切だった二人も守れなかったのかと落ち込んだのを覚えている。
もし過去に戻れたところで俺が二人を助けるなんて出来なかっただろうけど。

ヨーゼフはきっとこの話をどこかで聞いて先生のように自分も立派な魔法使いになりたいと言ったのだろう。
応援したい気持ちはあったが、十歳になったヨーゼフも能力の目覚めはなかった。
俺と同じで魔法も体術も出来ない、ただの子供で魔法使いの適正はなかった。
それでもなりたいのだと真っ直ぐな瞳を墓石に向けるヨーゼフに俺は無責任にも。


「ヨーゼフならきっとなれるよ」


そう言ってしまった。
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