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その9
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「ほい、お疲れさん。気をつけて帰れよ」
前回と同じ位置に車が停車した。
路駐も良くないと慌ただしく出ようとすると落ち着け、と肩を叩かれた。
「すんません、今日もありがとうございました」
ドタドタと車内から出てから言えば、口角を綺麗に上げて微笑まれた。
この表情に世間の女性たちはやられているんだろうなと思いつつも、その中の一人に俺もなるな、と確信ししながら頭を下げ家へと向かった。
それから数日後、事件は起きた。
コンビニにエナジードリンクを探しに行った際、たまたま近くに置いてあった週刊誌が目に入った。
その表紙に『速報!幅広く人気を集めている俳優逞生と女優優亜の熱愛報道!?』と大きく書かれていた。
相手がどんな人かさっぱり分からないし、名前も聞いたことない。
出社すると女の子たちの話題がほとんどこの話で、皆表情を暗くしていた。
このことを先輩はどう思ってるのだろうと思い、スマホを見てみるも特に連絡はない。
あの日も俺が送ったものは既読がついたけれど、メッセージは届いていなかった。
そういえば高校の頃も特に返事が早かったわけではなかったな、と何となく思い出していたらメールが届いた。
『頼みがある、暫く笠原の家に泊まらせてくれないか? 大里』
「は?!」
まさかの先輩からの連絡で、それも俺の家に泊まらせてくれないかという内容だった。
どういうことだ。
あれか、家の周りをカメラマンやら記者の方々が張り付いていて出入り出来ないとかか。
何にしても先輩が俺の家に来るとか無理だろ。
だって俺の家お世辞にも綺麗とは言えないし、寝る場所はベッドしかない。
そのベッドだって物置になってるし。
そうだ、きっと先輩には俺ではなくとも心優しい誰かから許可を得るだろうから暫く返信するのは止めて様子を見よう。
前回と同じ位置に車が停車した。
路駐も良くないと慌ただしく出ようとすると落ち着け、と肩を叩かれた。
「すんません、今日もありがとうございました」
ドタドタと車内から出てから言えば、口角を綺麗に上げて微笑まれた。
この表情に世間の女性たちはやられているんだろうなと思いつつも、その中の一人に俺もなるな、と確信ししながら頭を下げ家へと向かった。
それから数日後、事件は起きた。
コンビニにエナジードリンクを探しに行った際、たまたま近くに置いてあった週刊誌が目に入った。
その表紙に『速報!幅広く人気を集めている俳優逞生と女優優亜の熱愛報道!?』と大きく書かれていた。
相手がどんな人かさっぱり分からないし、名前も聞いたことない。
出社すると女の子たちの話題がほとんどこの話で、皆表情を暗くしていた。
このことを先輩はどう思ってるのだろうと思い、スマホを見てみるも特に連絡はない。
あの日も俺が送ったものは既読がついたけれど、メッセージは届いていなかった。
そういえば高校の頃も特に返事が早かったわけではなかったな、と何となく思い出していたらメールが届いた。
『頼みがある、暫く笠原の家に泊まらせてくれないか? 大里』
「は?!」
まさかの先輩からの連絡で、それも俺の家に泊まらせてくれないかという内容だった。
どういうことだ。
あれか、家の周りをカメラマンやら記者の方々が張り付いていて出入り出来ないとかか。
何にしても先輩が俺の家に来るとか無理だろ。
だって俺の家お世辞にも綺麗とは言えないし、寝る場所はベッドしかない。
そのベッドだって物置になってるし。
そうだ、きっと先輩には俺ではなくとも心優しい誰かから許可を得るだろうから暫く返信するのは止めて様子を見よう。
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