上 下
271 / 286

クラリッサは箱入り娘

しおりを挟む
それから一週間、邪魔も入らず放課後は部活に専念する事ができた。

エミリーと相談して植えた野菜の苗も順調に根を張ったようだ。

元々はこの国にはあまり流通していない野菜で、この国よりも北の国で主に扱っている野菜なのだ。
この分なら野菜の幾つかは辺境領でも育てられそうだった。

あれから、フリオール様やレオナール様ともあまり接点を持つことなく過ごせています。

レオナール様達が来られてから、クラスでも皆男子生徒に囲まれてワイワイやっているので、フリオール様もわざわざこちらに声を掛けて来なくなりました。

ただ部活強化月間も終わり、明日から徐々に勉強会を再開しようと思っているので、またフリオール様も参加してくるかもしれなかった。


「アンジェ聞きまして、近々模擬舞踏会を開催する予定らしいですわ」
クラリッサがまた新たな情報を仕入れてきたようだ。

模擬舞踏会は年に何度か学校内で行われる催し兼実技試験だ。

実施日や回数は未定なので抜き打ち試験と言ってもいいものだ。

1年生にとっては只のイベントで参加は自由だが2年3年にとっては試験を兼ねているので、強制参加の上3つの試験項目を卒業迄にクリアしないといけない。

去年は1度のみだったし、ライアン殿下を避ける為に私は不参加だった。


「試験勉強の前に礼儀とマナーのおさらいと、何よりダンスの練習をしなくては」
キャロルが慌てます。

「それよりパートナーですわ
誰に頼みます?」
クラリッサとキャロルはまだ特定の相手が決まっていないですもんね。

クラリッサは侯爵令嬢だし、まだ相手が決まっていないって珍しい事なんですよね。

今まで浮いた噂もないし、侯爵であるお父様はクラリッサをとても大切にしているから、無理やりな婚約はさせたくないみたいだけど、そろそろいろんな所から縁談の話はきている筈だ。

「クラリッサ、そろそろ縁談のお話も一杯来ているのでしょう?
まだ会ってみたいと思う人は現れないの?」
私はいい機会だから聞いてみた。

「え? 何の話ですの?」
クラリッサが分からないと言う顔で聞き返す。

「パートナーの話がでたから…何となく連想しちゃったの。
クラリッサに婚約のお話が一杯来ているかな?って」

「ああ、そうですわね。
多分来ていると思います。
でも、お父様が止めておいでなのですわ。
まだ早いって言って」
クラリッサもため息をつく。

「侯爵令嬢のクラリッサには遅いと言われても早いとは言わないわよね?」
エミリーも不思議そうです。

「お父様はお兄様や弟には早々と婚約者を選定されているのに、1人娘の私には相手を決めたくないのです。
学校に入学した頃からそろそろ考えて下さいとお母様が説得中ですわ」

バートン侯爵がそこまで娘離れできない程溺愛型の父親だとは知りませんでした。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢アンナの婚約者:スティーブンが不倫をして…でも、アンナは平気だった。そこに真実の愛がないことなんて、最初から分かっていたから。

わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。

朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」  テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。 「誰と誰の婚約ですって?」 「俺と!お前のだよ!!」  怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。 「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので

モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。 貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。 ──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。 ……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!? 公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。 (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

白い結婚のはずなのに、なぜ私を殺そうとしたのですか? など、恋愛小説短編集

ミィタソ
恋愛
時間がないときにも読めるショートや短編の恋愛小説になります。 ゾワッとする復讐劇から甘いラブストーリーまで、様々なジャンルが詰め込まれています。

モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?

狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?! 悪役令嬢だったらどうしよう〜!! ……あっ、ただのモブですか。 いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。 じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら 乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?

【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-

七瀬菜々
恋愛
 ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。   両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。  もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。  ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。  ---愛されていないわけじゃない。  アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。  しかし、その願いが届くことはなかった。  アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。  かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。  アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。 ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。  アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。  結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。  望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………? ※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。    ※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。 ※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。  

処理中です...