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クラリッサは箱入り娘
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それから一週間、邪魔も入らず放課後は部活に専念する事ができた。
エミリーと相談して植えた野菜の苗も順調に根を張ったようだ。
元々はこの国にはあまり流通していない野菜で、この国よりも北の国で主に扱っている野菜なのだ。
この分なら野菜の幾つかは辺境領でも育てられそうだった。
あれから、フリオール様やレオナール様ともあまり接点を持つことなく過ごせています。
レオナール様達が来られてから、クラスでも皆男子生徒に囲まれてワイワイやっているので、フリオール様もわざわざこちらに声を掛けて来なくなりました。
ただ部活強化月間も終わり、明日から徐々に勉強会を再開しようと思っているので、またフリオール様も参加してくるかもしれなかった。
「アンジェ聞きまして、近々模擬舞踏会を開催する予定らしいですわ」
クラリッサがまた新たな情報を仕入れてきたようだ。
模擬舞踏会は年に何度か学校内で行われる催し兼実技試験だ。
実施日や回数は未定なので抜き打ち試験と言ってもいいものだ。
1年生にとっては只のイベントで参加は自由だが2年3年にとっては試験を兼ねているので、強制参加の上3つの試験項目を卒業迄にクリアしないといけない。
去年は1度のみだったし、ライアン殿下を避ける為に私は不参加だった。
「試験勉強の前に礼儀とマナーのおさらいと、何よりダンスの練習をしなくては」
キャロルが慌てます。
「それよりパートナーですわ
誰に頼みます?」
クラリッサとキャロルはまだ特定の相手が決まっていないですもんね。
クラリッサは侯爵令嬢だし、まだ相手が決まっていないって珍しい事なんですよね。
今まで浮いた噂もないし、侯爵であるお父様はクラリッサをとても大切にしているから、無理やりな婚約はさせたくないみたいだけど、そろそろいろんな所から縁談の話はきている筈だ。
「クラリッサ、そろそろ縁談のお話も一杯来ているのでしょう?
まだ会ってみたいと思う人は現れないの?」
私はいい機会だから聞いてみた。
「え? 何の話ですの?」
クラリッサが分からないと言う顔で聞き返す。
「パートナーの話がでたから…何となく連想しちゃったの。
クラリッサに婚約のお話が一杯来ているかな?って」
「ああ、そうですわね。
多分来ていると思います。
でも、お父様が止めておいでなのですわ。
まだ早いって言って」
クラリッサもため息をつく。
「侯爵令嬢のクラリッサには遅いと言われても早いとは言わないわよね?」
エミリーも不思議そうです。
「お父様はお兄様や弟には早々と婚約者を選定されているのに、1人娘の私には相手を決めたくないのです。
学校に入学した頃からそろそろ考えて下さいとお母様が説得中ですわ」
バートン侯爵がそこまで娘離れできない程溺愛型の父親だとは知りませんでした。
エミリーと相談して植えた野菜の苗も順調に根を張ったようだ。
元々はこの国にはあまり流通していない野菜で、この国よりも北の国で主に扱っている野菜なのだ。
この分なら野菜の幾つかは辺境領でも育てられそうだった。
あれから、フリオール様やレオナール様ともあまり接点を持つことなく過ごせています。
レオナール様達が来られてから、クラスでも皆男子生徒に囲まれてワイワイやっているので、フリオール様もわざわざこちらに声を掛けて来なくなりました。
ただ部活強化月間も終わり、明日から徐々に勉強会を再開しようと思っているので、またフリオール様も参加してくるかもしれなかった。
「アンジェ聞きまして、近々模擬舞踏会を開催する予定らしいですわ」
クラリッサがまた新たな情報を仕入れてきたようだ。
模擬舞踏会は年に何度か学校内で行われる催し兼実技試験だ。
実施日や回数は未定なので抜き打ち試験と言ってもいいものだ。
1年生にとっては只のイベントで参加は自由だが2年3年にとっては試験を兼ねているので、強制参加の上3つの試験項目を卒業迄にクリアしないといけない。
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キャロルが慌てます。
「それよりパートナーですわ
誰に頼みます?」
クラリッサとキャロルはまだ特定の相手が決まっていないですもんね。
クラリッサは侯爵令嬢だし、まだ相手が決まっていないって珍しい事なんですよね。
今まで浮いた噂もないし、侯爵であるお父様はクラリッサをとても大切にしているから、無理やりな婚約はさせたくないみたいだけど、そろそろいろんな所から縁談の話はきている筈だ。
「クラリッサ、そろそろ縁談のお話も一杯来ているのでしょう?
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