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知らない兄の顔

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そして、騎士団にも序列はあるみたいで、簡単に言えば近衛騎士団、王宮騎士団、第一騎士団、第二騎士団、第三者騎士団と5つに分かれていて近衛から順に格が高い認識らしい。

その他にも個人として見た場合。所属騎士団と本人の騎士の位でまた細かく差は出で来るらしいけど。

ヴォルフ様とウォル兄様は第一騎士団の第一班班長と副班長と言う間柄だった。
2人同時に第一騎士団からいなくなる事になったから、第一騎士団の団長たちは動揺したと聞いている。

それだけ2人の存在が団の中でも影響力があったのだろう。
本人達は全く我関せずな様子ですけどね。

「近衛騎士団に移動して1年も経ってないのに、もう一小隊指揮いる班長なんて、相変わらず規格外なんだよ、あいつは」
と呆れているヴォルフ様。

「ウォル兄様って、そんなにすごいのですか?」

「うん… 実力は当然だけど、それを涼しい顔でやってのける上、ブチ切れた時は悪魔の如くとよく言われたな。
やることが外見とのギャップが有りすぎて、第一騎士団では見た目麗しのシルバーウルフで中身はレッドドラコンって言われていた」

へ? 麗しのシルバーウルフ?
シルバーウルフだって結構獰猛な獣なのに。
まあウルフは格好いい人の例えによく使われる。
そして髪の色からシルバーウルフなんだろうな。
で、中身がレッドドラコン…
ドラコンの中でもレッドドラコンは狂暴かつ強すぎると言われています。

この世界ではドラコンは架空の生物に近い程の位置づけで、実物を見たと言う話しは聞かないけれど。

でも、物語的な言い伝えだとドラコンはレッド、ブラック、シルバーといて、最強に怖いのはレッドって書いてあったはず…

そのレッドドラコンに例えられる兄様って…
私には見せてくれない兄の顔なんだと思う。

「それは知りませんでした」

「うん、口止めされてたからね。アンジェはウォルターが騎士団の訓練所にいる時見学に来たことないだろ?」

「はい、王妃教育で城に来ていた時、何度か見学したいと言った事はあったんですが危ないから絶対に駄目って言われてました」

「あいつが騎士団にいる時と、家にいる時じゃあ180℃顔も雰囲気も違うからね。
アンジェが怖がって嫌われると思っていたんじゃないかな?」

「そうだったんですか?」

それは初耳です。
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