悪役令嬢に転生したおばさんは憧れの辺境伯と結ばれたい

相談

「はぁあー」

「お、お嬢様？」

「ごめん何でもないのよ」
侍女のエマとナタリーは私を心配そうに見ていた。

裏庭でフリオール様と話して、友達になろうと言われ私の顔に迷いがでたのだろうか、フリオール様は。
「返事はまた今度でいいよ、それまでドキドキ期待しながら待ってるからさ」
とニッコリ笑いながら去って言った。

その後どっと疲れたのは言うまでもなく。
私はふらふらしながら、迎えの馬車に乗り家に帰ってきたのだ。

いつもなら途中ヴォルフ様の所へ寄るのだけれど、今日はお城へ用事があるらしい、後でお父様と一緒に帰ってくると迎えの馬車で御者をしてくれるカールが教えてくれた。

だから、真っ直ぐ帰って部屋に入り着替えを済ませた所で盛大なため息が出てしまったのだ。

それを聞いたエマとナタリーをビックリさせちゃったのよね。

「あ、あのね２人に相談してもいい？」
２人はこれからもずっと一緒にいる私の侍女だし、何でもないと言いながら難しい顔をしている私を見るのはモヤモヤするだろう。

だったら、相談しよう。
私達の間に秘密は私の前世の事だけで十分だ。

私がこの世界に転生してしまった事を自覚したあの時からズーと私の側にいる２人は、ライアン殿下との婚約解消もヴォルフ様との新たな婚約も全て見てきたのだから。

「実はね学校で少し困ったことが起こったの」

「お嬢様はまた何かに巻き込まれたのですか？」

「あまり危険な事はだめですよ」

２人ともこの前の誘拐事件の時に凄く心配させちゃったから、学校、困った事イコールまた厄介事に巻き込まれ危険となっているようです。

「違う違う、もう危ない事はないわ、たぶん…」
私はフリオール様の素顔を垣間見た様なあの瞳を思い出した。