悪役令嬢に転生したおばさんは憧れの辺境伯と結ばれたい

お迎え

王妃さまの部屋をお暇して、王宮の待合所へ向かいます。

ここは登城した貴族たちが馬車を待ったり、城の案内を待ったりする場所です。

「アンジェ」
待合所の前まで来ると待っている馬車の前でヴォルフ様が立っていました。

「ヴォルフ様、来てくれたのですか？」
私はヴォルフ様に駆け寄ります。

「連絡を貰ったからね。迎えに来た」

この前寝込んで看病して貰った後、学校へ通うようになってから、毎日スターレン家のタウンハウスに寄るのが日課になっていました。
王都に滞在してくれているヴォルフ様に会いたいからと言うのもあるけど、ヴォルフ様が学校から帰ってくるまで心配で落ち着かないと言われたのも理由のひとつかな。
バルバラの一件がヴォルフ様をより一層過保護にしてしまったようだ。

そのままスターレン家で夕食を一緒に取る事もあれば、我が家に一緒に帰りお父様やお母様と皆で食事をする事ありました。

きっと数年後、結婚しても私達はこのように過ごしている事でしょう。

いやいや、そうではなくて。

そんな訳で毎日ヴォルフ様を尋ねていますから、今日は帰りが遅くなると迎えの馬車に連絡を入れてもらったのです。

そしたらヴォルフ様自ら迎えにきちゃった。
どれだけ過保護に私を甘やかすのでしょう。
顔がニヤケてしまいそうです。

「ヴォルフ様ありがとう。
迎えに来てくれて、うれしい」
私はちゃんと気持ちを伝えます。

この前の件で後で後悔しないように、ちゃんと自分の気持ちは伝え合おうって約束したんです。

「邸で待つより、迎えに来ればその分一緒いられるだろ？」
エスコートされ馬車に乗り込むとそう囁かれました。

きっと今、私の顔は真っ赤だと思います。