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くれぐれも内緒で
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「姉上の言いたい事は分かりました。
それで僕は何をしたらいいのですか?」
ニヤケた口元を必死に手で隠している私にジュリアス様が言います。
「私の言う事を信じてくれるのですか?」
「最初は驚きましたけど、姉上がそんな嘘を私に付く理由がありませんからね」
つまりは私の説明で納得した訳ではないが、私達2人の間でこんな嘘を言って騙す意味もないから信じるって事ですか。
うーん複雑な気分だけど、しょうがない。
「先ほどもいいましたが、アンヌリーブ様が傷付いたり、振り回されたりする事は絶対に避けたいのです。
学校では私達が一緒にいられるので必要以上にフリオール様と関わらないようにしますが、王宮にお戻りになった後は何もできません」
「王宮に戻って来てからのアンヌリーブ姉上様を見守ればいいのですね?」
「ジュリアス様自らでなくても、アンヌリーブ様のお側にいる侍女や護衛騎士にそれとなく気を配ってもらってほしいのです。
王宮では1人になる事はないと思いますが、いくら隣国の王族同士でも男と女である以上個人的に接触があれば噂が立つかもしれません」
「確かに事実でなくてもそんな噂が広がる様な事はアンヌリーブ姉上様だけでなく、王家にとってもいい事ではないですね」
握った手を口元にあてて、考えているジュリアス様。
「フリオール様はよくも悪くも社交的な上、飾らない性格の様ですから、同じクラスになってそれなりに話す様な間柄になったらアンヌリーブ様に、会いに行く可能性はあると思うのです。
それを警戒してほしいのです」
「分かりました。その様に説明して侍女たちに注意を促します。
大丈夫です。
アンヌリーブ姉上様に付いている侍女達は母上が厳選したベテランばかりだから相談すれば、意図はしっかり伝わります」
王妃様が育てた侍女達はプロフェッショナルだから、そうしてもらえれば安心だ。
「くれぐれもアンヌリーブ様には内緒でお願いしますね」
私は最後に念を押した。
──────────────────
いつもお読み頂きありがとうございます。
本日「聖女派遣いたします」を投稿致しました。
どうぞ一読して頂ければ幸いです。
それで僕は何をしたらいいのですか?」
ニヤケた口元を必死に手で隠している私にジュリアス様が言います。
「私の言う事を信じてくれるのですか?」
「最初は驚きましたけど、姉上がそんな嘘を私に付く理由がありませんからね」
つまりは私の説明で納得した訳ではないが、私達2人の間でこんな嘘を言って騙す意味もないから信じるって事ですか。
うーん複雑な気分だけど、しょうがない。
「先ほどもいいましたが、アンヌリーブ様が傷付いたり、振り回されたりする事は絶対に避けたいのです。
学校では私達が一緒にいられるので必要以上にフリオール様と関わらないようにしますが、王宮にお戻りになった後は何もできません」
「王宮に戻って来てからのアンヌリーブ姉上様を見守ればいいのですね?」
「ジュリアス様自らでなくても、アンヌリーブ様のお側にいる侍女や護衛騎士にそれとなく気を配ってもらってほしいのです。
王宮では1人になる事はないと思いますが、いくら隣国の王族同士でも男と女である以上個人的に接触があれば噂が立つかもしれません」
「確かに事実でなくてもそんな噂が広がる様な事はアンヌリーブ姉上様だけでなく、王家にとってもいい事ではないですね」
握った手を口元にあてて、考えているジュリアス様。
「フリオール様はよくも悪くも社交的な上、飾らない性格の様ですから、同じクラスになってそれなりに話す様な間柄になったらアンヌリーブ様に、会いに行く可能性はあると思うのです。
それを警戒してほしいのです」
「分かりました。その様に説明して侍女たちに注意を促します。
大丈夫です。
アンヌリーブ姉上様に付いている侍女達は母上が厳選したベテランばかりだから相談すれば、意図はしっかり伝わります」
王妃様が育てた侍女達はプロフェッショナルだから、そうしてもらえれば安心だ。
「くれぐれもアンヌリーブ様には内緒でお願いしますね」
私は最後に念を押した。
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いつもお読み頂きありがとうございます。
本日「聖女派遣いたします」を投稿致しました。
どうぞ一読して頂ければ幸いです。
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